356 ギルドマスターから、衝撃の事実が発覚!?
「ん? これは……」
ギルドマスターは剣を手に取り、険しい表情でじっと見つめ始めた。
「どうかしましたか?」
「剣の持ち主の名前は?」
「ドミニクと名乗っていましたけど」
「間違いねえ。そいつは魔金級冒険者のドミニクだ。剣の達人として名を馳せた冒険者だな。随分前から話を聞かないなと思っていたが、そんな事になっていたのか……」
「そんな凄い人だったんですね」
あのヤドカリと剣で戦っていたのだから、相当の使い手だとは思っていたけど……。
まさか魔金級冒険者だったなんて。
「まさか死んでいたとはな……。確か、八十を越えていたから、引退して後進の育成に励んでいると思っていたぜ」
「ええ!? そんな年齢だったんですか?」
たしかに若くは見えなかったが、せいぜい六十くらいだと思っていた。
しかしそうなってくると、魔金級冒険者とはいえ、八十歳で大量の乗客を守りながら、船上であの巨大なモンスターと戦ったことになる。
ドミニクさんって凄いな……。
「ああ。若い頃のような力は出せなかったが、それでも強かったって話だ。この剣も相当な業物の筈だぜ」
「なるほど。それで、ドミニクさんから、剣の上手い人に愛剣を譲りたいと受け取ったんです。ギルドマスターの知り合いに剣の上手い人っていませんか?」
剣を受け取ったいきさつを話す。
ギルドマスターなら、そういった知り合いもいそうだけど。
「お前が使えばいいだろ? 滅茶苦茶強いじゃねえか」
が、ギルドマスターが呆れ顔で肩をすくめた。
「あ〜……、ドミニクさんから暗にダメだと言われました。俺に剣の才能はないみたいです」
このままでは俺が使う流れになりそうだったので、正直にNGを貰ったことを告げる。
上手い人に渡してくれって言われちゃったんだよね。
「そうか……。といっても、ここは漁師の街だ。残念ながら魔金級の冒険者が使っていた剣を託すに相応しい人物なんていない。魚獲りが上手い知り合いならいくらでもいるが、剣の達人はいないな」
「そうですか……」
街の性質を考えると、それが当たり前だ。
ここは漁をする冒険者が多数所属する海の街。
剣の使い手にとっては、余り居心地がよくないのかもしれない。
「剣の達人なんて、ほいほいいるわけないしなぁ。それこそナウテットの街にでも行かないと無理じゃないか?」
「ナウテットの街だといるかもしれないんですか?」
「あそこは街の周囲に強力なモンスターがわんさかいる。そのせいで自然と凄腕の冒険者が集まってくると聞くぞ」
「その内行ってみようかな……」
これは有力な情報ゲットだ。
当てもないし、祭りが終わったら行ってみるのも悪くないな。
「まあ、それはお前が頼まれたことだ。お前がやり遂げるんだな」
「はい、気長にいきます」
急ぐ用でもない。
ゆっくりとやっていこう。
「不審船の件もご苦労だった。その分も受付で報酬を貰ってくれ。他に何かあるか?」
「いえ、今のところは」
これで今報告できることは済んだ。
「あと数日もすれば、祭りの準備が始まる。手伝いの方も頼んだぞ?」
話が一段落ついたところで、祭りの準備について振られる。
そういえばそうだった。モンスター討伐に集中して、準備のことを忘れていた。
今日報告に来なければ、準備のことを忘れてモンスター退治を続けていたかもしれないな。
「俺は何をすればいいんでしょう?」
準備についてまだ何も聞いていないことを思い出す。
「当日受付に行ってくれ。その時に詳細を説明するようにしておく」
「分かりました」
何をするかは当日までお預けらしい。
まあ、いきなり飛び入りで参加する俺に重要な仕事は回ってこないだろう。
きっと荷物運び辺りじゃないだろうか。
「これで不安材料を減らせた。今年の祭りは楽しくなりそうだぜ!」
周囲のモンスターが減り、不審船の正体も分かったと知ったギルドマスターは、上機嫌になっていた。
この調子で祭りが成功するよう、準備もしっかりと手伝っていこう。
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