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349 解決したかと思いきや、まさかの事態に!?

 

 これでなんとかなりそうだ。



 皆が見守る中、フローラさんが両手を組んで祈るような姿勢になり、口を開いた。


「……ッ」


 しかし、声が出ない。


 元々、話すときも声を出すことに苦労している印象だったが、今は全く声が出せていなかった。


 それでもなんとかしようと、必死なのが伝わって来る。


「……ッ」


 数分経ったが、状況は変わらず。


 いや、むしろ悪くなっている気がする。


 フローラさんは息すら吐けない状態になり、見る見るうちに顔色が悪くなっていく。


「ゴホッゴホッ! ハァハァ……」


 最後は咳き込み、顔を真っ青にしながら肩で息をしていた。


「大丈夫ですか? 顔色がドンドン悪くなっていますけど」


 いくらなんでも様子がおかしい。


 これ以上はやめた方がいいのでは。


「ごめんなさい……。できなかったです……」


 苦しそうに声を絞りだすフローラさん。


「魔力が足りないとかですか?」


 浄化魔法は消費魔力量が高いのだろうか。


 それとも発動に特殊な条件でもあるのかな。


「違うんです……。これは私の個人的な問題で」


 と、大きく首を振って否定した。


 フローラさんは胸に手を当てると深く深呼吸する。


 乱れていた呼吸を落ち着けると、続きを話し出した。


「浄化の魔法は、歌に魔力を、乗せるんです。私は以前、無理をしすぎたせいで、喉を痛めて、しまったんです」


 なるほど、喉を痛めた後遺症で歌が歌えないのか。


 だから、普段も話しづらそうにしていたというわけか。


「それなら……」


 癒やし効果入りの餅を食べてもらえば、なんとかなるかも。


 あれ? でも、フローラさんは何度か団子を食べてるよな……。


 確か、ドミニクさんが倒れた時も一緒に食べていたはず。


 それに、時々普通に話せていたのを覚えている。


 ついさっきも、ドミニクさんや乗客の状態を説明する時はスラスラと話せていた。


「喉は治りました。ですが、それから声が、うまく出せなくなってしまったんです。歌を歌おうとすると、喉が絞まって、声が出なくなってしまうんです」


 話を聞く限り、精神的なものが起因しているような感じだな。


 きっと、負荷がかかると喉を痛めた瞬間を思い出して、無意識に抵抗反応が出てしまうのだろう。


 それで普段から話し方が特徴的だったのか。


 フローラさんは少し考え込んだ後、ためらう様に口を開いた。


「……街に行けば、浄化魔法を、使える人がいます。ですが……」


「それなら、街に行けば何とかなりますね!」


 なんと、街に光属性魔法を使える人が居るのか。


 光属性魔法を使える人は希少と聞いていたけど、フローラさんを含めて二人もいるなんてラッキーな話もあるものだ。


「いえ、街には行かない方がいいでしょう」


 が、ドミニクさんが険しい表情で言った。


「どうして……。皆さんが亡くなっているからですか?」


 幽霊みたいな存在だから、驚かれると思っているのだろうか。


 正直、人と見間違えるほどだし、怖がられることはないと思うけど。


「違うんです。我々は魔力の塊のような存在です。そのせいで、モンスターを引きつけてしまうと思われます。あの巨大なモンスターも我々が集団で行動していたから、惹かれて寄って来たのでしょう」


「それならきっと大丈夫です。街の周囲にはモンスター避けが展開されているそうなので、モンスターは街には近づけないですよ」


 街の海に面した部分には壁がない。だが、その代わりにモンスター避けが張られているという。


 だから、ドミニクさんたちがモンスターを引きつける存在だったとしても大丈夫だ。


 と、皆を安心させようと説明したら、フローラさんが首を振った。


「まるもっちーさん、残念ですがモンスター避けに、引き寄せられたモンスターを退けるほどの、効果はないです。嫌がって近づけさせない、仕組みなので、それを上回る魅力的な物を見つけたら、構わず街の中へ侵入してきます」


「そうだったんですか? 参ったな……」


 そう言えば結界ほどの効果はないって、聞いた記憶がある。


 となると、ドミニクさんたちを迂闊に街へ入れられないわけか。




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