348 新たな問題発生、とんでもない事態に!?
「この人達は既に亡くなっているんです」
俺がドミニクさんに尋ねると、フローラさんが代わりに答えた。
「え? そんな風には見えませんけど」
しっかりと二本の足で立って活動している。
死体が歩いているといった印象はない。
かといって、幽霊のように透けているわけでもない。
ごく普通の人達に見えるけど……。
「初めは違和感を覚える程度でしたが、今は確信しています。光属性の魔法が使える人間はこういったことに敏感なんですよ。通じ合うというか、直感的に感じるものがあるんです」
「そういえば……、ミミとドミニクさんが話していたっけ」
あれもそういったことが関係しているのか?
「しっかりと人の形を成しているのは、魔力濃度が濃い場所で亡くなったからだと思います。そういった場所で命を落とすと、稀に人の形をとどめたまま、一定期間活動できるという話を聞いたことがあります」
「そういうことだ。我々は既に命を落としていたんだ。どういう状況だったかも思い出したよ。私たちはあのモンスターにやられたんじゃない、災害に遭ったんだ。魔力を帯びた渦に巻き込まれたのさ」
「そんな……」
フローラさんの説明と、ドミニクさんの告白に言葉が出ない。
「記憶が混濁したり、姿が一時的に消えたりしていたから、もうすぐ終わりがくるんだと思う。その前に危険を知らせることができてよかったよ」
ドミニクさんの言葉を聞き、他の乗客たちも次々に頷く。
「私も思い出したわ。皆で話し合ったのよ」
「そうだった……。ドミニクに皆の力を集めて送り出したんだ」
「ああ。ドミニクがやってくれたんだ。ありがとう、ドミニク」
「思い残すことは何もない。後は待つだけだ」
この人達はあのモンスターから街を守ろうと、全力で動いていたのか。
一つになって大きなことをやり遂げたせいか、皆の表情が穏やかなものになり、温かな雰囲気が漂う。
そんな中、乗客の一人の姿が透けていく。
「……ッ! ぐ……」
透けた乗客はとても苦しそうに胸を押さえていた。
「大丈夫ですか!?」
駆け寄った俺は姿が薄くなった乗客を支えようとするも、手がすり抜けた。
存在が消えかけているせいか、触れることが出来ない。
焦る俺の周囲では、乗客が次々と同じような状態になっていく。
そして、一番初めに透けた人から順に元の状態に戻っていった。
「存在が消えたり現れたりしているから、精神に負荷がかかっているんだと思います。今は間隔が長いですが、消える直前はもっと間隔が短くなってくるはず」
乗客の様子を見たフローラさんが言った。
つまり、こんなことを何度も繰り返しながら段々と消えていくのか。
それはあまりに辛い。
もしかすると、癒やし効果スキルを注いだ餅を食べたときに倒れたのも、このことと関係があるのかもしれないな。
「何とかならないのか……」
ドミニクさんたちはとても辛そうだ。
俺たちには何も出来ないのだろうか。
ただ見ていることしかできないというのは悔しいな。
「浄化の魔法なら、あの人達を楽にできると思います」
「それならミミが!」
フローラさんの言葉に光明を見出す。
浄化の魔法は確か光属性だったはず。
『?』
当の本人は今一つ理解していないようで首を傾げていた。
「確か、声に魔力を乗せて使うんだったっけ……。ミミ、声に魔力を乗せることができる?」
『やってみる!』
強く頷いたミミが、なんとか浄化魔法を使おうと四苦八苦する。
が、うまくいっている感じがしない。
さすがに情報が少なすぎるか。
『うー……、よく分からないの……』
しょぼんと俯くミミ。
いくら器用なミミでも、何の手がかりもない状態から、いきなり魔法を使うのは無理だった。
『ごめんね』
「ミミが謝ることじゃないよ。俺が無理を言ったんだ、ごめんね」
と、ミミに謝る。
何かいい方法はないだろうか。
俺が悩んでいると、フローラさんが一歩前に出た。
「私が、やります」
「フローラさん?」
「私は浄化の魔法が使えます。だから、私がやります」
「おお! お願いします!」
そういえば、さっき光属性の魔法が使える人はこういったことに敏感だと言っていたっけ。
つまりフローラさんは光属性魔法が使えるってことか。
ドミニクさんを含めた乗客たちもフローラさんの発言を聞き、色めきたつ。
これでなんとかなりそうだ。
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