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346 追いつめられて、とんでもない行動に出る!?

 

 海草の壁ができるのを見守っていると、ヤドカリがこちらを向いた。


 俺が無属性魔法を撃ちまくったせいだ。



「よし、こっちに注意が向いた。逃げながら船と距離を離す!」


『できたの!』


 ミミの報告を聞き、ボートを漕ぎながら豪華客船の方を見る。


 すると緑の壁がそびえ立ち、こちらから豪華客船が見えなくなっていた。


 俺はボートを漕ぐ速度をコントロールしながら、その場を離れる。


 あまり速くしすぎるとヤドカリが豪華客船へ行ってしまうので、ギリギリ追って来られる速度を維持した。


「ナイス! でも漕ぎながらだと魔力が練れない……。ここは一か八か……」


 ヤドカリをある程度引き離した俺はボートを停め、魔力を練る。


 しっかりと練って、特大の一撃を叩き込めばそれで終わる。


「も ち も ち……って、来たー!?」


 後一歩で魔法が放てると思った次の瞬間、ヤドカリが急接近し体当たりを仕掛けてきた。


 俺はとっさに魔法発動を止め、ミミを抱えてジャンプ。


 上空に躍り出て下を見下ろせば、ボートが大破していた。


 落下中に魔力を練ることが出来れば魔法を撃てる。


 と思ったが、咄嗟に飛んだために高度が足りていなくて無理そうだ。


 このまま落下すればヤドカリの目の前に落ちてしまう。


 そんなことになれば、何をされるか分かったものじゃない。


「く、このままでは、海に落ちる!? なんとかなれぇっ!」


 焦った俺が叫んだ瞬間、体が不自然に前へ弾んだ。


「え?」


 後ろから背を押されたようになり、弧を描くようにして大きく前へ跳ぶ。


 自分でもよく分からない現象だった。


 そのまま飛ぶに任せていると、ミミが作った壁が眼前に見えてくる。


 俺はミミが作った壁に張り付き、停止。


 壁の天辺まで一気に登って立つと、壁から落ちないようにミミを頭に乗せた。


 俺が壁に立つのと同時に、ヤドカリがこちらへ振り向き、泡を大量に吐き出した。


 泡は大岩ほどの大きさまで膨らむと、速度を上げてこちらへ迫ってくる。


「もう一度だ」


 俺は強烈な一撃を見舞うため、じっくりと魔力を練る。


 その間に大量の泡が一気に距離を詰めてくる。


「当たるか! 今度はこっちが当てる番だ!」


 俺は泡が壁に衝突する一歩手前で大きく垂直ジャンプ。


 空中で練った魔力を右手に集束させていく。


 ミミが作った壁は柔軟性に優れ、泡が衝突して破裂しても衝撃を吸収。


 破壊されることはなかった。


 ヤドカリは顔を上げ、上空に居る俺目がけて泡を吐き続けた。


 泡はふわふわと浮き、正確にこちらへ飛んでくる。


 そうこうしているうちに魔力の集束を終え、魔法を放てる状態になる。


「喰らえ! もちもち波―ッ!」


 と、上空から高威力の無属性魔法を放つ。


 俺の右手から巨大な光線が射出され、進路上の泡を消失させつつ、ヤドカリに直撃。


 無属性魔法をモロに受けたヤドカリは、為す術なく消し飛んだ。


 ついでにミミが作った壁も一部が消し飛んでしまう。


 当然、俺の真下にあった壁もなくなってしまったため、空から落下してそのまま海に着水。


 立ち泳ぎをして、残った壁にしがみついた。


『やったー! やっつけたね!』


「ふう、危ない所だった。ミミが壁を作ってくれたお陰で船は逃げられたし、ヤドカリも倒せたよ。ありがとうね」


 俺の頭上で喜ぶミミにお礼を言う。


 相手は弱っていたようだが、戦う環境が悪かった。


 ミミのフォローがなければ、もっと苦戦していたはずだ。


『んふー♪』


 俺の言葉を聞いたミミは、ご満悦の様子で鼻を鳴らしていた。


 その後、ヤドカリを倒した俺たちは泳いで豪華客船に合流した。




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