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329 とんでもない事実に気づく!?

 

 と、ミミの姿がないことに気付く。


 家までは一緒に戻ったのに。



「そういえば、いませんね。家の外には、出ていないと、思いますけど」


 フローラさんが不思議そうに周囲をぐるりと見回す。


 俺も釣られて見渡すも、ミミの姿はどこにもない。


 ここに居ないということは二階だろうか。


「もしかして」


 ドミニクさんの部屋かな。


 そう思い、二階の客間へ向かう。


「ミミ?」


 そう声をかけながら扉を開ける。


 中にはドミニクさんとミミの姿があった。


「……あれが、遭難していた人ですか?」


 初めてドミニクさんを見たフローラさんが聞いてくる。


「はい。街で見かけたことがある人だったりしますか?」


 もしかして顔見知りなのかな。


 それなら話が早くて助かるんだけど。


「いえ、ですが……」


 フローラさんがドミニクさんを見つめて固まる。


「何か気がついたことでもありますか?」


「ううん、なんでもないです」


 俺の問いにフローラさんは首を横に振った。


 何かを察した感じだったけど、気のせいだったのかな。


 …………


 そんな会話の後、部屋へ入ると話し声が聞こえてきた。


「そうなんです。名前以外思い出せなくて」


 ドミニクさんがミミの方を見て落ち込んだ顔で頷く。


『困ったね』


 腕組みしたミミが悩ましげに唸る。


「はい、困りました。これではどこに帰ればいいのか分からないです」


『思い出すまで、ずっとここに居たらいいよ!』


「ご親切にありがとうございます」


 ミミの言葉を聞き、ドミニクさんが丁寧に頭を下げる。


 一連の流れを見ていた俺は、奇妙な違和感を覚えていた。


 あれ、なんかおかしいな……。


『こういう時は助け合いだって、マスターが言ってたの』


「マスターさんは素晴らしい方なんですね」


『うん。ミミね、大好きなの』


「ドミニクさん、ミミの言葉が分かるんですか?」


 違和感の正体に気づいた俺は、思わず声を上げてしまった。


 俺の声を聞き、ミミとドミニクさんが一斉にこちらを向く。


『あ、マスター!』


 ミミが嬉しそうにこちらへ駆け寄ってきた。


 俺は慣れた手つきでミミを抱き上げる。


「どうも、マスターさん」


「あ、名前はまるもっちーといいます。改めてよろしくお願いします」


「私は、フローラです」


「これはご丁寧に。ドミニクといいます」


『ミミだよ!』


 と、皆で自己紹介を済ませる。


「それで、ミミの言葉が分かるんですか?」


 気になったので、改めて質問した。


 俺以外にミミの言葉が分かる人がいるとは驚きだ。


「はい、なんとなくですが」


「その割にはしっかりと会話していたような……」


 ちゃんと意思の疎通が取れていた。


 てっきり契約した者としか会話出来ないものだとばかり思っていたが、違っていたようだ。


「うらやましいです。私もミミちゃんと、お話ししたい……」


 フローラさんがしょぼんとした表情で俯く。


『大丈夫?』


 それに気付いたミミが、落ち込むフローラさんに駆け寄って撫でた。


「ミミちゃん!」


 慰められて感極まるフローラさん。


 ミミを抱き寄せ、頬ずりを始めてしまう。


 ミミは突然の抱擁に驚いていたが『元気出してね』と、フローラさんの頭を撫でていた。


 とまあ、いい感じにオチもついたし、ご飯にするか。


「ドミニクさんも起きたみたいだし、夕食の準備をしますか」


「そうですね。いい時間に、なってきましたし」


『手伝うの!』


「私も何かお手伝いさせてください」


 俺たちが食事の準備の話で盛り上がっていると、ドミニクさんも参加すると言い出してきた。


「いやいや、ドミニクさんは休んでいて下さい。手伝いは元気になった時にお願いしますよ」


 いくら体に異常がないとはいえ、今日ぐらいは安静にしていてほしい。


 俺は、ベッドから降りようと身を乗り出すドミニクさんを押さえて、思いとどまらせる。


 ドミニクさんをしっかりガードしていると、諦めたようで力が弱まった。


「すみません。それではもう少し休ませてもらいます」


「はい。出来上がったら呼びに来ますので、ゆっくりしていてください」


「それではお言葉に甘えて」


 ドミニクさんは俺たちに一礼すると、横になった。


 それを見届けた俺たちは、夕食の準備のため客間を出てキッチンへと向かう。




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