321 海で初戦闘するも、まさかの展開に!?
これならあっという間に目的のポイントまで着けそうである。
『さっきより速いね!』
ボートの速度にミミが大興奮。
「ひぃ……」
フローラさんは消え入るような悲鳴を上げ、ボートにしがみついた。
「よし、大体コツが掴めた。もうちょっと力を入れてみるか」
ここからが本番だ。
周りに障害物もないし、思いっきりいけそうである。
そう思った俺は一気に速度を速めていく。
『きゃー♪』
「ひぃいいいい!」
二人の声を聞くこと数秒、丁度良さそうな場所に到着する。
「この辺りでいいのかな?」
あまり離れすぎると意味が無い。
ギルドマスターの依頼は街周辺のモンスター討伐だ。
そう考えると、この辺りが適切だと思った。
『もう進まないの?』
ボートに乗ることが楽しかったのか、ミミがちょっと物足りなさそうに聞いてくる。
「初めだし、今日はこの辺でやってみるよ。泳げるようになったけど、ミミはまだお留守番ね。海に入るのは明日からにしようね」
モンスター討伐に参加してもらうのは、もう少し後だ。
海で泳ぎ、潜水の練習をしてからの方がいいだろう。
『分かったの!』
「それじゃあ、フローラさん、ミミを見ていてもらえますか」
「え、私も行かないんですか?」
自分も討伐に参加すると思っていたフローラさんが声を上げる。
「初めから飛ばしても仕方ないんで。今日は軽くやって引き上げます」
俺もちゃんと討伐するのはこれが初めて。
今日は慣らす感じで上がるつもりだ。
それにミミの泳ぎの上達速度が思った以上に早い。
この調子なら、近いうちに午前中もモンスター討伐に時間を割けるようになる。
それなら、慌てる必要は無い。
しばらくすれば丸一日討伐に時間を使える上に、ミミも戦闘に参加できるからだ。
「分かりました。行ってらっしゃい」
「すぐ戻りますんで」
フローラさんに了承を得た俺は海へ飛び込んだ。
「まずはポイズンゼリーフィッシュを倒しまくってみるか」
今回のターゲットにしたのはクラゲ。
あいつは移動速度が遅く、動きが緩慢だ。
だから攻撃を当て易い。
他のモンスターに遭遇すれば倒すけど、積極的に狙うのはポイズンゼリーフィッシュに絞っていくことにする。
俺はゆっくりと泳ぎながら、周囲を注意深く見ていく。
しばらく泳いでいると、ポイズンゼリーフィッシュを発見。
都合良く、複数体が固まっていた。
俺はなるべく投石の威力を高めるため、限界まで接近。
向こうがこちらへ攻撃を仕掛けようと近づいてくる瞬間を狙い、連続で投石する。
ポイズンゼリーフィッシュの移動速度は遅い。その上、こちらへ近づいてくるため、攻撃を外す要素がない。
投げつけた石は全て命中。一気にポイズンゼリーフィッシュたちを倒した。
倒した死骸はすうっと浮上し、海面を漂っていた。
「よし、いい感じだ。この調子でいこう」
死骸の回収中に襲われたら面倒なので、一旦放置し、倒すことに集中する。
回収は周囲のモンスターを減らし、ボートに戻ってからやろう。
そう考えた俺は、泳ぐ速度を変更。
限界まで速度を上げ、爆速で泳いでポイズンゼリーフィッシュを探し回る。
見つけたら即投石して倒す。
死骸は放置し、ひたすらそれを繰り返す。
そんなことをしばらくやっていると、ポイズンゼリーフィッシュを見かけなくなったのでボートに戻った。
「戻りました」
「あの……」
俺が声をかけるとフローラさんが顔を青くしながら言いよどむ。
「何かありましたか!?」
トラブルでもあったのだろうか。
もし怪我でもしていたら大変だ。
「まるもっちーさんが潜ってから、大量に何かが、浮いてきたんですけど……」
と、海面を指差し、顔を引きつらせる。
「ああ、ポイズンゼリーフィッシュですよ。いちいち回収していたら時間が勿体無いので、倒すことだけに集中していたんです」
なるほど、周囲の変化に驚いていたわけか。
俺は安心させようと、浮遊物がモンスターの死骸だと説明した。
『一杯浮いてるよ!』
「おお、ほんとだ。こうやって見るとそこそこ倒したな」
ミミに言われ、周囲を見渡してみると死骸だらけだ。
春の終わりに散った桜が屋外プールに浮かんでいたのを思い出すな。
「そこそこ、どころじゃないんですけど……」
フローラさんにそう言われ、改めて見てみると結構倒しているかもしれない。
これだけの数だと回収に時間がかかりそうだ。
「それじゃあ、船で回りながら回収していきますね」
ボートで接近し、アイテムボックスへ入れる作業を繰り返していく。
船上だと、ミミとフローラさんにも回収作業を手伝ってもらえたため、一人でやるよりずっと楽だ。
全ての死骸を回収し終え、数を確認してみる。
「二十か……。もうちょっといけると思ったんだけどな」
回収したポイズンゼリーフィッシュの数は二十。
体感ではもっと倒していた気分だったが、それほどでもなかった。
次はもう少し時間をかけた方がよさそうだな。
「……充分、だと思います」
と、フローラさんが元気付けてくれる。
彼女の励ましに応えられるよう、明日はもっと倒さないとな。
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