316 港に帰り、とんでもない事態に!?
つまり、迂闊に砂浜に近づかず海に出なければ、早々被害に遭わないということか。
「そうなんです。だから街全体、危機感が薄いというかなんというか……」
「地形が自然の防壁になっているんですね」
「そういうことです。それに加えてモンスター避けも使っているので、比較的安全なんですよ。でも、アックスクラブとか、陸でも普通に活動できる個体もいるから、本当は油断しちゃダメなんですよ」
「被害が少ないなら、気が緩むのも仕方ないかもしれないですね」
本当は危険だということを段々忘れていってしまうのは、なんとも人間らしい話ではある。
「逆に海を渡るとか、漁をするとなると、滅茶苦茶大変なんですけどね」
「そこまで大変なら無理に魚を獲らなくてもいいのに……」
話を聞いていると、海に出るメリットが少なく感じられた。
森のモンスターを倒して肉を食っていれば、無理に魚を獲る必要性を感じない。
広大な農地もあるし、危険な海に出る意味がないような気がするんだよな。
「いやあ、そうなんですけど……。魚って高額で取引されるんです。旨い高級魚なんかは、海の金塊とまで言われるくらい高騰するんで、命知らずの冒険者はみんな海に行きたがるんですよねぇ」
「そうか、モンスターがいるから、魚が希少品扱いなのか。不思議な感じだな」
この世界では魚が高級品なのか。
危険を侵さないと手に入らない食材。
それが肉とは違った旨味を持つなら、値段が高騰するのも頷ける。
前の世界ではなかった価値観に触れ、不思議な気分になる。
「海のモンスターも売れますし、漁師をすると、陸でモンスターを倒すより稼ぎ易いんですよ。漁に失敗したら、モンスターを狩って補てんできるんで」
「そう考えると美味しいですね」
同じ狩り場に二種類の獲物が存在する。
危険度は高いが、安定した収入が約束されるというわけなのか。
「過酷ですけど、赤字になりにくいんですよ」
「へぇ、勉強になります」
「街が、見えてきましたよ」
テリーさんの話が終わる頃、フローラさんが街の方を指差す。
視線を向ければ、港が側まで近づいていた。
「お、着きましたね。どうですか? 参考になりましたか」
港に船を着ける作業をしながらテリーさんが聞いてくる。
「テリーさん、ありがとうございました。とても参考になりましたよ」
実演、実践、両方とも勉強になった。
道中で聞けた話も興味深いものだった。
「そう言ってもらえると、嬉しいです。じゃあ、これで解散にしましょうか。ポイズンゼリーフィッシュはそっちで処理してください」
「了解です。あ、これ、お礼にもらってください。郷土の甘味です。パーティーの方と召し上がってください」
俺はポイズンゼリーフィッシュの死骸を受け取るかわりに、月見団子が入った袋を差し出した。
テリーさんが所属していたパーティーにはご迷惑をかけてしまったし、お詫びの品を渡しておきたい。
「お、助かります。あいつらに詫びいれる時に使わせてもらいますよ。それじゃ」
「はい、また宿で」
『ばいばい!』
「ありがとう、ね」
というわけで、海のモンスター討伐講習は終了。
テリーさんとはその場で別れた。
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