313 海での初戦闘をするも、衝撃の展開に!?
俺は遠くに見える、紫色の特大クラゲを指差して聞いた。
見るからにそれっぽいし、当たりじゃないだろうか。
「そうです。ポイズンゼリーフィッシュは動きが鈍いので、比較的倒しやすいはずです」
「名前からして毒があるんですよね?」
名前といい、見た目といい、毒要素満載である。
近づくと危険そうだな。
「あ〜麻痺毒ですね。刺されると痺れる程度です。死ぬ事はないので、安心してください」
「よかった」
猛毒ではないことに安堵する。
集団で襲われたら溺れる可能性があるが、単体相手なら多少攻撃を受けても大丈夫そうだ。
「それじゃあ、海での戦闘に慣れていきましょう。実際に攻撃してみてください」
「一応、投擲してみていいですか?」
俺のメイン攻撃である投石。
その威力がどの程度落ちるのか、確認しておきたい。
完全に通用しないなら、新たな攻撃手段を探さないといけないからな。
「いいですよ。モリを使う時みたいに専用の仕掛けがないと、水中での投擲はかなり威力が落ちると思いますけど」
「ですよね。でもまあ、一応。……よっと」
テリーさんから忠告を受けるも、お試しで投石。
ちょっと強めに投げた石は、充分な速度を維持したままポイズンゼリーフィッシュに命中。
石は体を貫通し、モンスターを絶命させた。
「え……?」
テリーさんは何が起きたか理解できないといった表情で呆然となる。
「確かに威力が落ちてるな……。これだと大型の敵は一撃で倒せないかもしれない」
何度となく投げてきた経験から、威力がかなり落ちている事に気付く。
地上のモンスターでいうところの、ラッシュボアやアックスブルクラスのモンスターだと苦戦しそうだ。
「いやいやいや! 一撃じゃなかったら倒せるでしょ! おかしいでしょ!」
「まあ、三回くらい命中させたら倒せそうですけど」
倒せることは倒せる。
一対一の状況であれば、何度か投石すれば何とかなる。
全力で投げれば、一発で倒すことも可能かもしれない。
が、複数を相手にするとなると、ちょっと厳しいかな。
「おかしいから! あんた陸上で、どんだけの速度で投げてるんだよ!?」
「あはは……」
テリーさんの強烈なツッコミに苦笑い。
投石の速度について言われるのは初めてだが、実際どの位の速さなんだ?
今の俺がピーッチャーとして投球すれば、キャッチャーとレフリー、更には後ろの壁まで貫通するのは間違いない。
「まあ、これなら無理に接近する必要は無さそうですね。ちなみに普通は滅茶苦茶大変なんですよ? 泳ぎながら剣を使って攻撃するわけですから……」
「そうですよね。攻撃をかわすのも難しそうだ」
泳ぎながら近接武器を使っての戦闘。
体験したことはないが、想像しただけで大変さが分かる。
「そうなんですよ! だから本当は悪戦苦闘するまるもっちーさんに、俺が的確なアドバアイスをして、かっこいいところを見せる場面だったはずなんです! 今のところは!」
声を張り上げたテリーさんが身ぶり手振りを交えて強調する。
「いやあ、いけちゃいましたね」
「簡単そうに言うなぁ……」
「でも、色々参考になりました。テリーさんに教えてもらわなければ、分からないことだらけでしたしね。ありがとうございます」
「いえいえ。何か調子が狂うなあ……」
どこか不満そうな顔でテリーさんが呟く。
「海のモンスターとの戦闘は大体こんな感じなんですか?」
「大型のモンスターや、好戦的なモンスターの場合は船で戦うこともあります」
「そうなんですか? そんなことをしたら船が壊れたりしませんか?」
大型のモンスターから体当たりを食らったら、船体がもたないような気がするけど。
「ある程度の船なら部分的に強力な結界を張れるので、そう簡単には壊れませんよ。それに船上からだと弓や魔法が使えますからね」
「確かに。その方が戦いやすそうだ」
船上から攻撃を加えるシーンをイメージし、納得する。
やっぱり飛び道具を使えた方が戦闘を有利に進めやすいもんな。
「まあ、一長一短ですね。水中なら攻撃方法が限られるうえに移動速度が落ちるが、行動範囲が広い。船上だと陸と同じような戦い方ができるが、行動範囲が狭いうえに回避と逃走ができないって感じです」
テリーさんがそれぞれの戦闘においての利点を説明してくれる。
「あらかじめ海のモンスターについて詳しくないと、選択できないですね」
船上で戦うか、海中で戦うか。
咄嗟には決められそうにない。
「まあ、小さいモンスターは水中。大きいのは船上と考えておけば問題ないですよ」
「了解です。そういえば、この潜水服ってどのくらい潜っていられるんですか?」
結構のんびりと話しているが、大丈夫なのかな。
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