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312 準備を整え、海に出発!?

 

 モーターボートに揺られ、それなりに時間が経過する。


「かなり遠くまで出るんですね。てっきりもっと近くかと」


 随分街が遠くに見える。結構離れたな。


「街の側にはモンスター避けが張られているんですよ。だから、この辺りまで来ないと、モンスターと中々遭遇できないんです」


「へぇ、結界みたいなものですか?」


 それは初耳だ。


 この街は海側に壁がない。


 どうやってモンスターを近づけないようにしているか疑問だったが、何か仕組みがあるようだ。


「あそこまで強力じゃないですけど、そんな感じです。それじゃあ、早速行きましょうか」


「了解です」


 ヘルメットを取り出した俺は、船から身を乗り出したテリーさんに相づちを打つ。


 これが海での初戦闘。ちょっとドキドキしてきたぞ。


「あ!」


 と思ったら、何かを思い出したかのようにテリーさんが声を上げる。


「どうしたんですか?」


「肝心なことを聞くのを忘れていました。まるもっちーさんって泳げます?」


「あ!」


 テリーさんに言われて俺も気付く。


 海で活動するに当たって一番肝心な部分。


 あまりに当たり前すぎて、できるものとして話が進んでいたのだ。


「もしかして?」


 俺の反応を見てテリーさんが、まさか、とそわそわした表情になる。


「いえ、たぶん大丈夫です。泳げます。けど、ミミが無理ですね」


 元の体では泳げていた。


 餅人間になってから、一度も泳いでいないが多分いける。


 が、ミミは無理だろう。山育ちだし、泳ぐ機会はなかったはずだ。


「聞いておいて良かった……。姉貴、留守番を頼めるか。順番に案内するからよ」


「分かった」


 テリーさんの言葉に、フローラさんが短く頷く。


 全員で行ければ効率が良かったが、これは仕方ないな。


「ミミ、今回はちょっとお留守番しててね。明日から泳ぐ特訓をしよう」


 俺はミミに待ってもらうようにお願いした。


 今日は留守番してもらって、明日からは水泳の練習だな。


『分かったの! ミミ、待ってるね』


 ミミが俺の言葉を素直に聞き、待ってくれると言う。


 助かるぜ。


「じゃあ行きましょう。ヘルメットとベストを付けて海に入ってください。先に行って待ってますね」


 そう言ってテリーさんが海へ飛び込んだ。


「よし。それじゃあ、行ってきます。お留守番よろしくね」


 俺もヘルメットとウエイトベストを着用し、残る二人に声をかける。


『はーい!』


「行って、らっしゃい」


 二人の返事を聞いた俺は手を振り返し、海に飛び込んだ。


 …………


 海中に入り、周囲を見回す。


 この体で初めて海水の中に入ったが、問題は無さそうだ。


 まあ、風呂には入れたしね。多少違和感を覚えるが、泳ぐこともできる。


 しばらく泳げば慣れてくるだろう。


 海中での感覚を確かめていると、テリーさんが近づいてきた。


「俺の声、聞こえますか?」


「おお! 聞こえます!」


 まるで地上で話しているかのように鮮明に声が聞こえた。


 なんとも不思議な感じだ。


「こいつを着ていれば、地上と同じように会話できるので、体に異常を感じたらすぐ言ってくださいね」


「了解です。これは便利だな」


 これなら海中でのコミュニケーションも問題ない。


 普通に会話できるのは大きいな。


「それじゃあ、初歩の初歩である、ポイズンゼリーフィッシュを倒しましょう」


「もしかして、あれですか?」


 俺は遠くに見える、紫色の特大クラゲを指差して聞いた。


 見るからにそれっぽいし、当たりじゃないだろうか。




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