303 超特急の確認作業!
翌日、朝食後にあることを思い出す。
「そうだ、依頼の確認をしないと……」
ギルドに出した剣術指南の依頼。
確認は毎日行ってくれと言われていたのだ。
森での行動のことばかり考えて、すっかり忘れていた。
「依頼、ですか?」
「はい、剣術指南の依頼を出しているんですよ」
「昨日の、戦闘を見る限り、剣術を習う、必然性を感じない、んですけど」
と、フローラさんが首を傾げる。
「いやあ、武器も色々扱えるようになった方がいいかなと思って」
俺が出来ることといったら、投石と無属性魔法だけ。
もう少し攻撃のバリエーションを増やしたいのだ。
最近、錬金術も覚えたが、直接戦闘で使えるようなものではない。
頑張れば銃なんかを作れるかもしれない。
だが、投石や無属性魔法と攻撃範囲が被り、意味が無い。
近接攻撃用の武器を作ったとしても、使いこなす技術がない。
そう思って依頼を出したのである。
「なるほど」
「というわけで、ちょっとギルドまで行ってきます。その間ゆっくりしていてください」
依頼の確認にギルドまでひとっ走りしてくるか。
移動時間短縮を狙って森に滞在しているのに、これじゃあ意味が無いな……。
まあ、全力で走れば大した時間にならないか。
「私も、付いて、行きます!」
フローラさんが威勢よく挙手する。
「う〜ん……、またここに戻るんで、居てもらった方が助かるんですけど。一緒に行くなら、担いで行きますよ?」
一緒に来てもいいけど、大丈夫なのだろうか。
横抱きのジャスチャーをし、フローラさんに尋ねる。
ぶっちゃけ、ここに居てもらった方が全力で走れる分、早く帰って来れるんだよね。
「ッ!? 留守番、しています」
ビクッと体を震わせたフローラさんは、何度も首を縦に振った。
よし、これで早く帰って来れそうだ。
俺は出発準備を整え、玄関を出る。
「それじゃあ、すぐ戻りますんで」
頭にミミを乗せ、出発準備完了。
「いってらっしゃい」
『行ってきます!』
ミミがフローラさんに手を振ったのを合図にスタートを切る。
確認するだけだから、すぐ戻って来れるだろう。
…………
ギルドに到着し、受付で確認するも依頼は空振り、さっさと森へと戻る。
家に帰り、リビングダイニングへ行くと、フローラさんがお茶を飲んでいた。
「お待たせしました」
「え……、おかえりなさい。さっき、出たばかりなのに早かったですね」
「待たされるような用事がなかったですからね」
全て事前に話が済んでいて確認するだけだからね。
朝で受付も混んでいなかったし、こんなものだろう。
「移動距離の話なんですけど……」
「まあいいじゃないですか。それより、今日の討伐を始めましょうか」
「わ、分かりました!」
と、会話を切り上げ、家を片付ける。
準備を整えた俺たちは、森のモンスター討伐を開始した。
とにかくモンスターを探して討伐するのを繰り返す。
お昼休憩を挟みつつ、夕方まで討伐を続けた。
今回も討伐数は上々。いいペースを維持できている。
フローラさんも昨日より戦闘に慣れ、攻撃を当てる機会が増えていた。
「そろそろ、死骸の解体もやっておくか……」
昨日と今日でかなりの数を倒したし、明日、素材買取所へ持って行こう。
解体を決めた俺は、側にある木を適当に引っこ抜きまくった。
「な、何で?」
俺が突然木を抜き始めたのを見て、フローラさんがビクッと体を震わせる。
「ああ、これで樽を作るんです」
と、理由を説明する。
いきなり木を抜けば、何事かと思うのも当然か。
「いや、そういうこと、じゃなくてですね。なぜ素手で木を抜けるかという……」
「ミミも手伝ってくれる? 太い木が欲しいんだ」
『分かったの! よいしょっ!』
俺の言葉に応え、ミミが木を抜いてくれる。
よし、これで作業がはかどりそうだぞ。
「ええ……!? ミミちゃんまで……。でも、仕草が、かわいい」
「まあ、このくらいでいいかな。ミミ、ありがとうね」
ミミにお礼を言い、頭を撫でる。
『えへへ……』
「じゃあ、昨日と今日倒した分を出してっと……」
森で倒したモンスターをアイテムボックスから取り出す。
一度に出すと結構な山になった。
「ッ!? 前から、思っていましたけど、そのアイテムボックスも、おかしい……」
背後で聞こえるフローラさんの呟きは無視し、作業を進めていく。
「ほいっと」
死骸の山と抜いた木を指定し、錬金術を発動。
パチンと指を鳴らせば、ボフンと煙が上がり、解体は終了し木は樽に変わっていた。
樽の中には、解体時に出た血液が入っている。
モンスターの血液は結構いい値段で売れるので、しっかりと確保しておかないとね。
「ええッ!?」
「よし、後はしまっておいて、明日持って行くか」
驚くフローラさんを放置し、解体の済んだ素材をアイテムボックスへとしまっていく。
収納を終えたら、家を出し、今日の仕事は終了である。
夕食後、縁側でお茶を飲んでいると、ミミにハーモニカをせがまれてしまう。
フローラさんに聞かれるのはちょっと恥ずかしかったが、ミミの頼みとあれば断れない。
「ミミにお願いされたので、少し吹きますね」
と、ひと言ことわり、ハーモニカを吹く。
『んふ〜♪』
俺の膝の上に乗ったミミは嬉しそうに体を左右に振った。
いつものフローラさんなら、そんなミミの姿を見ると「かわいい」と連呼しそうなものだが、今日は静かだ。
というか、どこか寂しそうな表情にも見えた。
もしかしてホームシックかと思ってそれとなく尋ねたら、首を振って否定されてしまった。
単純に俺の演奏が微妙だっただけかもしれないな。
本作品を読んでいただき、ありがとうございます!
面白い、続きが読みたいと思っていただけたなら、
広告の下のブックマークの登録、
ポイント投入欄を☆☆☆☆から★★★★★にしていただけると、作者の励みになります!
よろしくお願いします!




