299 とんでもない部屋に到着……!?
俺はやれやれといった表情で頷くしかなかった。
「さあ、着いたぜ」
「うちの自慢の部屋です。どうぞ!」
「おお!」
『わあ!』
二人に案内された部屋に入り、俺とミミは同時に感嘆の声を漏らす。
大きな窓が三方に取り付けられた部屋は、街と海が一望できた。
これは凄いな。
「どうですか? 夜も街の明かりが、綺麗なんですよ」
「いいですね。本当にこの部屋に泊まってもいいんですか?」
「もちろんだ。風の強い日は必ず窓を閉めるようにしてくれ。開けておくと大変なことになるからな」
「分かりました。いい部屋をありがとうございます」
俺は二人に頭を下げ、お礼を言った。
「気にしないでくれ。このくらいじゃ、吊り合わないしな」
「夕食の準備ができたら、こちらに、運びますね。時間の希望は、ありますか?」
「いえ、今日はもうどこにも行かないので、いつでも大丈夫です」
「それじゃあ、ごゆっくり」
夕食の予定について答えると、二人は部屋を出て行った。
…………
「いやあ、旨かったなぁ」
食べた夕食の味を思い出し、つい呟いてしまう。
さすが海の街、様々な魚介料理が堪能できた。
というか、きっとフローラさんとテリーさんが気を遣って、宿の料理とは別に特別なご馳走を振る舞ってくれた気がする。
『うん! ミミね、エビフライが好き』
「うんうん、美味しかったね。俺でも作れるかな……」
ちょっと難しそうだけど、創造補助スキルを使ってレシピを検索すればなんとかなるかな。
その内チャレンジしてみるか。
『明日も一杯食べたいの!』
ミミは宿の料理が気に入ったのか、明日の食事に向けての意気込みを鼻息荒く語った。
「そ、そうか……」
これは一杯食べそうだな……。
宿代は後でこっそり払うつもりだが、直前まで向こうには分からない。
そんな中、ご飯まで無料で大量に食うのはまずい。
ご飯の代金は向こうが何と言おうとキッチリ払おう。
そう心に誓う俺だった。
…………
翌朝、綺麗な歌声が聞こえ、目が覚める。
どうやら、スピーカーのようなもので音量を上げた歌が流れているようだ。
別の街では鐘の音で時刻を知らせるような仕組みはあったが、歌は初めてだな。
歌で起床できるなんて、なんとも粋な演出である。
ミミも流れる歌に興味を示し、しばらく耳を傾け楽しんだ。
その後、朝食を済ませ、行動を開始する。
今日からギルドマスターに頼まれた依頼をこなしていく。
まずは森と海のモンスター討伐からだ。
あまり悠長にしていると、祭りの準備が始まってしまう。
準備が始まるまでにモンスター討伐は、ある程度済ませておきたいところだ。
だけど、その前にギルドへ向かう。
剣術指南の依頼を出すためだ。
モンスター討伐をしながら、依頼を受けてくれる人を待つ寸法である。
教えてくれる人がうまく見つかればいいんだけど。
「あ、まるもっちーさん、いらっしゃい。今日は依頼ですか?」
受付の前へ行くと、エラさんが声をかけてくれた。
「えっと、依頼を出したいんですけど、どうすればいいですか?」
初めて依頼を出すので勝手が分からない。
どういった手順なんだろう。
「じゃあ、これに必要事項を記入してください」
と、エラさんが用紙を差し出してくる。
俺は記入用紙を受け取り、早速書いていく。
「えーっと、依頼内容は剣術指南。期間は祭りが始まるまでっと。こんな感じかな……」
報酬はエラさんに相場を聞いて決めるか。
「書けましたか?」
「はい、こういった依頼の報酬はどの位なんでしょう?」
「大体、一日銀貨三枚から金貨一枚くらいですかね」
「じゃあ、金貨一枚っと……。これでお願いします」
報酬を高めに設定し、エラさんに提出する。
「うーん……、この依頼だと……」
記入を済ませた書類を見て、エラさんが難しい表情になる。
「どうかしました?」
「もしかしたら人が来ないかもしれないな、と思って……。でも、絶対来ないとも言い切れないですが……」
「まあ、お試しでやってみますよ」
ここは気楽に行こう。
「依頼を掲示するのに、一日単位で料金が発生しますが、問題ありませんか?」
「大丈夫です。お願いします」
「それではお預かりしますね。こちらから依頼の受注があったのか、お知らせする事はないので、できれば毎日確認に来てくださいね」
「分かりました」
大量の依頼があるわけだし、個別に連絡を送るのは難しいのだろう。
確認は毎朝すればいいかな。
「他にご用はございますか?」
「ないですね。これからギルドマスターの依頼をこなしに行くので」
「そうでしたか。またのお越しをお待ちしております」
「失礼します」
「見つけた!」
受付を離れようとした瞬間、大きな声が聞こえる。
「あ、フローラさん……」
振り返れば、フローラさんがこちらへ駆けて寄って来るところだった。
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