298 予想外の人物と再会!?
「あ、貴方は」
『こんにちは!』
ミミが嬉しそうに手を振る。
そう、俺たちはこの人と初対面ではなかった。
俺の昇級試験の際、偶然出会った事があるのだ。
名前は知らないが、リーゼントが印象的だったので覚えている。
「こんなところで会うとは思わなかったぜ。改めて、俺はテリー。よろしくな」
「まるもっちーと言います。こっちはミミです」
と、お互いに自己紹介。
テリーさんというのか。冒険者だけでなく、宿の仕事もしている感じなのかな?
「ここは俺の実家なんだ。歓迎するぜ」
なるほど、そういうことか。
「テリーと、お知り合い、だったんですか?」
フローラさんが不思議そうな顔で聞いてくる。
「姉貴?」
テリーさんがフローラさんを見て、疑問顔になる。
「お?」
テリーさんの言葉を聞き、納得。
ここは家族でやっている宿ということか。
「改めまして。テリーの姉の、フローラです。弟が、お世話に、なっています」
「お世話とかってほどでは……」
「いやいや、まるもっちーさんの従魔に命を救われたんだから、世話になりまくりだろ」
俺の言葉を聞き、テリーさんが大きく首を振る。
「そうなの?」
「……まあな。カールたちには言うなよ?」
「私も、さっき、助けてもらった」
「姉貴もかよ!?」
フローラさんの言葉を聞き、テリーさんが目を見開く。
「うん……」
「だから冒険者なんてやめとけって言ったのに……」
「それとは、関係ないから!」
「分かったよ……」
「二人そろって助けてもらったわけだし、街にいる間の宿代はタダだな」
「そうね。そのつもりで、連れて来たし」
テリーさんとフローラさんの間で勝手に話が進み、宿代が無料になることが決定してしまう。
二人は目を合わせて大きく頷いていた。
「いえいえ、払いますよ。そもそも俺がどのくらいこの街に滞在する予定か知らないでしょ?」
さすがに悪いと思い、話に割り込む。
今回は祭りまでの長期滞在を予定している。
ずっと無料という事になると、相当な金額になってしまうぞ。
「いいや、ダメだ」
「だめ、です!」
二人は妙な連帯感と頑固さを見せ、首を振る。
家族ならではの似た雰囲気を感じさせるリアクションであった。
く、二人掛かりで迫られると断りにくいぞ。
「いや、でも……、悪いですよ」
「そんなことはねえ!」
「ありません!」
二人が真剣な表情で声を張る。
真に迫る迫力で言われ、俺はびくりと身を引いた。
何もそこまで強く言わなくても……。
「……わ、分かりました。お世話になります」
強い意志と圧を感じ、折れた。
これ以上粘っても、結果は同じだろう。
俺ではこの二人の心を動かすことは不可能なようだ。
「ゆっくりしていってくれ。一番いい部屋に案内するぜ」
「こっちです!」
二人が得意気な顔で階段を上り、部屋へ案内してくれる。
「宿代を貰わないなら、せめて安い部屋にしてくださいよ……」
「いいや、ダメだ」
「だめ、です!」
「息がぴったりな上に、圧が凄い……」
うーん……、これ以上話しても平行線を辿るだけな気がする。
こうなったら、宿を出る時に部屋にこっそりお金を置いて行くか。
うん、それがいいな。
一泊や二泊なら無料で泊めてもらってもいいかもしれないが、さすがに期間が長すぎるしね……。
『二人ともそっくりだね』
テリーさんとフローラさんのシンクロぶりを見たミミが楽しそうに言う。
「そうだね……」
俺はやれやれといった表情で頷くしかなかった。
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