296 待ち伏せにあい、とんでもない事態に!?
「ソーンシェルフィッシュを探し出せるといいな。もし万が一、誰かが持ち込んできたら確保しておこうか?」
「是非お願いします!」
「影真珠だけなら、今回持ち込んだモンスターの売却価格で充分買えるだろうしな。これだけレアなモンスターを持ち込んでくれたから、特別だぜ?」
どうやら出した死骸にレアなモンスターが含まれていたようだ。
街と街の間を移動する際は余りレアなモンスターに遭遇しない。
それは俺以外にも沢山の人が通るためだ。
当然冒険者も多く通行するから、珍しい個体なんて狩り尽くされていると思っていた。
だから名前も調べず雑に扱っていたのだが、まさかレアなものが混じっていたとは……。
そのお陰で予約ができてしまった。といっても、あまり期待はできないか。
「ありがとうございます。それじゃあ、失礼しますね」
俺はパットさんに挨拶すると、素材買取所を出た。
「一応、店にも行ってみるか……」
店では多分売っていない。
そう言われたが、もしかしたらということもある。
レアモンスター探しの前に、念のために店も回ってみよう。
「あ! 見つけた!」
などと考え事をしていると、フローラさんが声をかけてきた。
「どうも、依頼は終わったんですか?」
「はい! 達成できました!」
「それは良かったです。俺に何か用ですか?」
「宿、決まってますか?」
と、言いながら顔をずずいと近づけてくる。
話が急に飛んだな……。
なぜに宿なんだろう。
「いえ、特には」
「なら、お勧め、あります。行きましょう!」
フローラさんは俺の腕を取り、宿へ案内しようとしてきた。
「えっと、その前に店を見て回りたいんですよ」
「店? 何の店ですか?」
「モンスターの素材を扱っている店ですね」
「分かります! 案内します!」
俺の説明を聞いたフローラさんが、腕を引く力を弱めないまま方向転換する。
「いや、悪いですよ」
「街まで、送ってもらった、お礼に案内します!」
「それじゃあ、お願いしてもいいですか?」
そう言われると断り辛い。
そもそも、一人で探すより、地元の人に案内してもらった方がいいのは事実だ。
「任せて!」
俺は自信にあふれた笑顔のフローラさんに引っ張られ、商業区へ向かった。
…………
「……ダメか」
案内された店を出た俺は軽くため息を吐く。
ここで五軒目。主要な店はこれで終わり。
高級店から地元の人しか知らないような穴場の店まで行ってみたが全てダメだった。
残念ながらパットさんが言った通り、どこの店でも取り扱っていないようだ。
「何を、探してるんですか?」
そういえば店のことしか言ってなかった。
素材名を話せば、何か知っているかな。
「影真珠という素材ですね」
「なら、宝石店も行って、みましょう」
素材名を聞いたフローラさんが別視点から提案してくれる。
確かに今まで回った店はモンスターの素材を扱っている店だ。
真珠なら宝石を扱う店にあってもおかしくはない。
「なるほど」
「こっち、です!」
と腕を引っ張られ、宝石店へと向かった。
…………
「残念、惜しかったなぁ」
宝石店を出た俺はガックリと肩を落とした。
数年前には扱っていたことがあったそうだが、今は品切れ。
タッチの差というわけではないが、痕跡が残っていただけに悔しい。
くう、惜しいぞ。
「とても珍しい、って言っていましたね」
「やっぱりモンスターを探すしかないか」
どうせ祭りが始まるまで、この街に滞在する予定だ。
海のモンスター討伐のついでに、ソーンシェルフィッシュも探せばいい。
それでダメならブラックドラゴンを使って錬金術で強引に作り出そう。
「私も、お供します!」
俺の呟きを聞いたフローラさんが、目を輝かせて言う。
「それはいいです」
と、即答。
今の彼女の腕前では、海のモンスター討伐に同行させるのは危険だしね。
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