293 ギルドマスターから、とんでもない依頼が!?
フローラさんと別れた後、初めて街に来た際の更新手続きをしようと受付へ向かう。
「イリスの街の冒険者ギルドへようこそ。担当のエラがお伺いします」
今回の受付の方は猫耳を持つ女性だった。
ニコルさんとは違った耳の形だな。
「初めてこの街に来たので、更新手続きをお願いします」
と、ギルドカードを提出する。
「分かりました。あら? まるもっちーさんが街に来た場合はギルドマスターと面会していただくことになっていますね。こちらへどうぞ、ご案内します」
「はい」
こうやって案内されるのも、何度目になるだろう。
俺も慣れたもので、軽く返事を返してエラさんの後を追う。
いつものように階段を上り、最上階にある部屋へ通された。
「よく来たな。俺がギルドマスターのアンガスだ」
部屋の突き当たりにある巨大な執務机に腰掛けていたのは、日に焼けた顔に大きな傷跡があり、鍛え抜かれた体が逆三角形と化した男だった。
なんというか、ねじり鉢巻きが似合いそうな雰囲気がある。
海の男というか、大物を仕留めた漁師のようなイメージがぴったりな外見だった。
「まるもっちーです。こっちは従魔のミミです。よろしくお願いします」
『こんにちは!』
ミミと二人、ギルドマスターにぺこりとご挨拶。
「おう、こちらこそ頼む。まあ、座ってくれ。さて、回りくどいのはなしだ。お前に頼みたいことがある」
「俺に出来ることでしたら引き受けます」
これまたいつもの展開だな。
ギルドの間では俺の話が通っているので、変な誤解が生まれないのはありがたい。
依頼の達成や行動で、トラブルにならないのは助かる話だ。
「話が早くて助かるぜ。頼みたいことは三つ。祭りの準備の手伝い。不審船の調査。海と森のモンスター討伐だ」
「もう少し詳しく内容を聞いてもいいですか?」
「うむ。祭りの準備ってのは、そのままだ。もうすぐこの街の名物である花火大会がある。その準備を手伝って欲しい。お前はアイテムボックスがある上に力持ちらしいから、大型の機材なんかの運搬を頼みたいんだ」
「それくらいなら問題ないです。お手伝いさせてください」
「毎年、地味に人手を割くことになるから、助かるぜ」
そういうのは得意だ。
きっと役に立てる。
あ、でも準備だけでいいのかな?
「片付けは手伝わなくてもいいんですか?」
「それはいい。片付けは、なるべく来年準備に参加するメンバーにさせたいんだ。そうすれば、準備の練習にもなるしな」
「なるほど、了解しました」
準備だけでいいなら、こっちも楽ができる。
祭りが終わったら、すぐに街を出ることも出来そうだな。
「次は不審船の調査だ。最近、不振な船の目撃情報がちらほらと上がっているんだ。今のところ実害は出ていないが、正体を突き止めるのを手伝って欲しい」
「それはあまり役に立てないかもしれないですね。海での活動に慣れていないので、大した事はできないと思います」
海での経験がゼロの俺には荷が重い依頼だ。
元の世界で船の免許を持つほどだったなら、何かできたかもしれないが、そういうわけでもないしね。
残念ながら、この話を請けても成果を挙げられそうにないな。
「それもそうか。船が使えないと追跡できんしな……。なら、海に行くことがあったら気にとめておいてくれ。何かあったら教えて欲しい」
「分かりました」
まあ、そのくらいなら出来るか。
何か分かるといいけど。
「最後は海と森のモンスター討伐だな。これは単純だ。モンスターが増えているので、間引きしてくれって話だ。特に目標とかはないから、倒したいだけ倒してくれ」
えらくダイナミックな話だな。
でも、これなら引き受けても大丈夫だ。
モンスター討伐は得意分野。期待に応えられると思う。
「了解です。この街の冒険者では倒しきれないほど、モンスターが増えているんですか?」
「そういうわけじゃないんだ。この街特有の事情って奴だな。海にはモンスターが出る。そのため、一般人が漁をすることはない。冒険者が漁師をやっているんだ」
「そうだったんですね。漁師と冒険者が一緒なのか……」
異世界ならではだな。
海にモンスターが出るなら、それを討伐できる人間が漁をするのは当然か。
「この街の冒険者は皆、海に行く。だから森へモンスター討伐に行く者が元々少ないんだよ。そのせいで街の周りはモンスターがいつも多いんだ。お前も注意しろよ」
「気をつけます」
ついさっき、フローラさんが何度もモンスターに襲われている場面にも遭遇したし、森にいるモンスターの数は相当多いのかもしれないな。
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