表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

291/415

291 遭遇、新人冒険者……!?

 

 俺たち二人の圧に負けて、フローラさんは受け取ることを了承してくれた。


 こういうとき二人掛かりだと、ごり押しが出来ていいな。



「ところで、フローラさんは最近冒険者になられたんですか?」


 無言になるのも嫌だったので、気になったことを尋ねた。


 フローラさんの装備はモンスターと戦ったせいで汚れてはいたが、品物自体は新品に近かった。


 買ったばかりのものを装備したという印象だ。


 モンスターとの戦闘も慣れていない感じだったし、新人冒険者なのではと思ったのだ。


「はい。最近、転職、しました。まだ、慣れなくて」


 フローラさんは俺の言葉に頷いた。


 しかし、こうやって会話をしていると、話し方が不自然なことに気付く。


 なんというか、息苦しそうなのだ。


 喉を痛めているのだろうか。


 そういうことなら、癒し効果を注いだ餅を食べればなんとかなるかもしれないけど。


 この会話の流れで団子を勧めるのは違和感があるよな……。


「そうなんですね。まあ最初からうまくいくものでもないですし、元気出して下さい」


「はい。頑張ります!」


「今日の依頼はそれで終わりですか?」


「いえ、これは依頼、じゃないです。依頼はこっち、です」


 そう言って、フローラさんが掲げたのはベンダーラ草だった。


「おお、薬草採取だったんですね」


 俺も初めての依頼は薬草採取だったので、親近感を覚える。


「はい。採取に、夢中になって、油断していました……」


 話しながらしゅんとした表情になってしまう。


 そう簡単に見つからないのは俺も良く知っている。


 探し回って森の奥深くまで行ってしまうのはあり得る話だ。


 そう考えると、薬草採取って結構難しいんだよな……。


「俺たちはイリスの街へ行く途中だったんです。依頼が終わっているなら、送って行きましょうか?」


「いえ、そこまで、していただく、わけには……」


 と、口ごもる。


 モンスターに襲われていた所を助けられた上に送ると言われれば、俺が逆の立場でもそうなるか。


 かと言って強引に誘うと、向こうに気を使わせるだけだしなぁ。


 ここは街から多少離れているが、迷うような場所でもない。


 この人も行きはここまで来れたわけだし、帰りも何とかなるか。


「分かりました。それじゃあ、失礼しますね」


 ちょっと気になったが、この場で別れることにする。


 怪我もしていないようだし、街も近い。


 冒険者なら、なんとかなるだろう。


「はい、ありがとう、ございました」


『ばいばい!』


 ミミと二人、手を振ってその場を後にした。


「一人で大丈夫かな?」


 あんまりグイグイいくと、親切の押し売りみたいになるしなぁ……。


 ちょっと気になった俺は、立ち止まって振り返った。


「きゃああああ!」


 途端、悲鳴が聞こえてくる。


 なんか聞き覚えがある声だぞ……。


「まさか……」


『さっきの場所から聞こえたの』


「急ごう!」


『うん!』


 頷きあった俺たちは現場へ急行。


 そこには一匹のモンスターと対峙し、尻餅をついたフローラさんがいた。


 今度のモンスターはかなり巨大な個体だった。


 角が剣のように鋭い巨大な鹿である。


 こんなのが突然現れれば、驚くのは当然か。


「よっと!」


 俺は素早く投石。


 モンスターを屠る。


 こちらの気配に気付き、視線を向けたフローラさんと目が合う。


「あ……」


 放心状態から我に返り、俺の方を見つめてくる。


 俺は倒したモンスターをアイテムボックへ回収した。


 今回のモンスターは巨大すぎるし、譲っても持ち帰れない。


 何より、いつまでも置きっ放しにしていたら、フローラさんが落ち着かないだろうと判断したためだ。


「怪我はありませんか?」


「はい……、何度も、すみません……」


 状態を尋ねると、俯いたままボソボソと答えてくれた。


「場所を変えた方がいいんじゃないですか? どうも危険な気がするんですけど」


 どうにもモンスターとの遭遇率が高い。


 今倒したモンスターも相当強そうだったし……。


 ここって、結構危険な場所なのでは。


 薬草採取が目的なら、もっと安全な場所を選んだ方がいいと思う。


 まあ、モンスターに対処できるなら、話は別だけど。


「次からは、そうします……」


「とりあえず今日は送っていきますね。またモンスターに遭遇するかもしれないし」


 相手の返事を聞かず、ちょっと強引に話を持って行く。


 街に着いた後、怪我をしたフローラさんが治療院へ運び込まれるのを見たら、絶対後悔するしね。


 彼女のためというより、自分のためだ。


「そ、そうですね。お願い、します」


「それじゃあ、失礼しますね」


 同意を得た俺は、フローラさんを横抱きにした。


 出発の気配を察したミミが俺の頭に飛び乗る。


 ステータスが上がり、身軽な動きに磨きがかかったな。


「え? あの……? 凄く柔らかい……」


 突然のことに驚くフローラさん。


 そんな中でも俺の触り心地を呟いていた。


 これから走って街へ向かうわけだが、説明するのは面倒だ。


 数秒軽く走れば理由も分かるだろう。


「じゃあ行きますよ」


『しゅっぱーつ!』


 かわいらしいミミの合図を聞き、駆け出す。


 フローラさんが驚かないように、軽い目を意識して走るのを忘れない。


「え? あ、あ、あ、あああ!」


 理由を察したフローラさんの悲鳴が聞こえる中、速度を少しずつ上げていく。


 イリスの街まで一気に行くぞ!


 …………


 街道を軽快に走り、あっという間に街に到着。




 本作品を読んでいただき、ありがとうございます!


 面白い、続きが読みたいと思っていただけたなら、

 広告の下のブックマークの登録、

 ポイント投入欄を☆☆☆☆から★★★★★にしていただけると、作者の励みになります!


 よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

   

新連載は、こちらから読めます!

   

   

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ