27 初買い取りがとんでもない価格に……!
初めは勉強ってことで、解体費用込みでプラマイゼロくらいになってくれれば、ありがたいな。
「ざっと見積もって金貨百五十枚ってところかな」
「え……」
「そうがっかりすんなって。軽く見ただけだからだ。ちゃんと査定が終われば、もう少し上がるはずだ」
「ええ!?」
薬草の依頼が銀貨三枚の報酬だったのに、よく分からないモンスターを適当に倒したら金貨百五十枚……。
まあ、たまたま希少価値が高いモンスターを倒した可能性もある。
折角儲かったわけだし、倒した他のモンスターもついでに解体してもらって、どうなるか見てみよう。今なら多少マイナスになっても問題ないしね。
「あ、他にもあるんで、解体込みでお願いします」
と、街に来る道中で倒したモンスターたちを出していく。
頭部に髑髏模様のある巨大なヘビ、二本の角が生えた馬、頭が二つあるデッカい犬、真っ青な猿、尻尾が二本あるデッカい狐。
鑑定すれば名前は分かったが、面倒なのでやっていなかったモンスターたちである。
どれも大きいせいで、一気に場所が埋まってしまったな。ちょっと息苦しいぞ。
「…………ちょっと待て。スカルサーペント、バイコーン、オルトロス、ブルーエイプ、ジャイアントフォックス……だと」
「どうでしょう? マイナスになりますか?」
「なるわけないだろうが! 上物ばかりじゃねえか!」
「おお! じゃあ大丈夫そうですね」
「そういう問題でもないんだが……。まあいい、ざっくり見積もって、金貨七百枚だ。これだけのモノだと、解体に時間がかかる。細かい査定は素材を見てからになるから、明日以降にもう一度来い」
「わ、分かりました」
「これだけのモンスターを一度に見るのは久しぶりだな。くぅ、腕が鳴るぜぇ」
俺は妙に盛り上がっているハンスさんに別れを告げ、素材買取所を後にした。
「じゃあ、帰ろうか」
と、頭上のミミに話しかける。
依頼も終えたし、今日はもうやることもない。
大して疲れていないが、宿へ戻ろうかな。
『もう帰るの?』
物足りない様子のミミが首を傾げる。
「う〜ん、そうだなぁ……。ちょっと街を見てまわろうか」
宿に帰っても、やることがない。
時間つぶしも兼ねて、少し散策してみるか。
『お散歩だね! ミミも歩いていい?』
ミミが頭上から軽やかに飛び降り、危なげなく着地する。
「いいよ。迷子になると危ないから手を繋ごうか」
『ん』
俺は差し出されたミミの手を掴む。これで、安心。
「じゃあ、どこに行こうかな」
『あっちがいいと思うの』
「よーし、行ってみるかぁ」
俺たちは、賑やかな気配がする方へのんびりと歩き出す。
散歩中、匂いにつられて何軒かの屋台で買い食いをしてしまった。
串焼肉、ちまき、カットフルーツ。
複雑な料理や味付けではなかったが、どれも美味だった。
屋台料理って、どうしてこんなに旨いのか。
誘惑に負けて、ついついはしごをしてしまう。
どう考えても無駄遣いだ。
だけど、かなり儲かったっぽいし、これくらいの浪費なら大丈夫。
なにより、笑顔で美味しそうに食べるミミの姿は、プライスレス。
『マスター、美味しいね〜』と、言われれば、「そうだね、あっちのも食べてみようか」と返してしまうのも致し方なし。
だって、『わーい!』って大喜びするんだもん。しょうがないじゃん?
夕日が沈んでいく中、片手に肉の刺さった串を持った俺とミミは、繋いだ手をブラブラさせながら、宿へ帰った。
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