25 初依頼達成! その評価がとんでもないことに……!
「おいおい、そんな調子でやってると、日が暮れちまうぜ?」
リラックスタイムを満喫していると、背後から声をかけられる。
振り向けば、エドモンさんが大きな荷物を背負って歩いているのが見えた。
側には弓を持ったエルフっぽい女性と、体と同じ位の大斧を持ったドワープっぽい男性もいる。
「あ、エドモンさん。昨日はありがとうございました。依頼ですか?」
「おう! 移動に一日掛かるところで、モンスターの討伐だ。この辺りは街から近いが、暗くなると危険だ。適当なところで切り上げろよ」
「はい。エドモンさんも気をつけて。いってらっしゃい!」
俺はミミと一緒に手を振る。
するとエドモンさんも片手を上げて応えてくれた。
「じゃあ、俺たちは帰るか」
エドモンさんたちを見送り、街へと向かう。
帰り道でトラブルが発生することもなく、無事冒険者ギルドに到着した。
ギルド内は昼前ということもあり、人の数もまばらだった。
依頼を受けた人は出発した後だし、依頼を終えた人が帰って来るには、まだ早い時間帯だからだ。
受付へと行き、手続きを済ませることにする。
「シモーヌさん、依頼を達成したので確認をお願いします」
俺はシモーヌさんに、ギルドカードとベンダーラ草を五つ提出した。
五千個手に入ったが、依頼の数量は五。
数量以上渡しても問題ないが、無理に多量に出す必要も無い。
「えっ、早いですね。分かりました。はい、五つ確かに。もしかして、あらかじめ採取しておいたのですか?」
「いえ? 今採ってきましたけど」
「そうでしたか。まるもっちーさんは採取の才能があるのかもしれませんね」
と、褒められてしまう。しかし、俺はひとつしか発見できなかった。
全ては、ミミのお陰で成し遂げられたのだ。
「いえ、そういうわけでは……。この子が凄いんです。こう見えて頼りになるんですよ」
『えっへん』
「へぇ、小さいのに、やり手なのね。ところで、まるもっちーさん、討伐依頼を受けてみる気はありませんか?」
「討伐依頼ですか?」
「ええ、採取依頼は問題無さそうですし、討伐依頼も同じ位の精度が出せれば、推薦を出せますよ」
「推薦ってなんですか?」
さっきから聞いてばかりだが、展開についていけない。
「冒険者は一定数の依頼を達成すると、昇級試験を受ける資格が得られます。ですが、依頼の達成精度が高いと判断されれば職員から推薦を受けることができます。そうすると、依頼達成数が未達でも試験が受けられるんです」
「なるほど、それで討伐依頼ですか」
「そういうことです。ただ雑に数をこなすのではなく、ひとつひとつ丁寧な仕事を心がけていて実力がある人には上に行きやすいような仕組みになっています」
「う〜ん、迷うな……」
まだ一回しか依頼をしていないのに推薦を受けてもなぁ。
「まるもっちーさんが提出した薬草は鮮度と品質が高く、非常に状態が良いものでした。後は討伐依頼で同じような精度を出せれば推薦が出せますよ。お勧めのモンスターはハンマーヘッドチキンですね」
と、シモーヌさんが笑顔で説明してくれる。
「まだ一度しか依頼を受けていないので、今は遠慮しておきますよ」
「そ、そうですよね。薬草の品質が良かったから、つい熱くなってしまいました。今は怪我に気をつけて、一歩一歩着実に進むのが正解でした。もし、推薦のことに興味を持ったら声をかけて下さい」
「ありがとうございます。いつかその時がきたらよろしくお願いしますね。そういえば、あらかじめ依頼の品を用意しておいてから、依頼を受けても問題ないのですか?」
俺はお礼を言いつつ、気になっていたことを尋ねた。
こんな初歩的なことを聞いているくらいだし、推薦の話を詳しく聞くのはまだまだ先でいいだろう。
「ええ、問題ありませんよ。採取依頼では珍しいですが、討伐依頼ではよくあります。討伐依頼を受けていたら別のモンスターも倒したので、ギルドに帰ってから討伐依頼を受けた、とか。討伐依頼だけ受けて、討伐に成功したら、後でそのモンスターの素材調達依頼を受ける、とか。そういうこともあります」
「柔軟に対応してもらえるんですね」
「ええ。依頼に失敗すると、違約金が発生してしまいますからね。達成できそうな依頼だけ受けるのは、よくあることです」
「ああ、そういうことか。参考になります」
依頼失敗を減らすテクニックということか、と納得する。
「それでは、こちらが報酬の銀貨三枚になります。これからも依頼、頑張ってくださいね!」
「はい、色々とありがとうございました」
俺はシモーヌさんにお礼を言い、カウンターを後にした。
「ついでだし、昼飯を食っていくか」
冒険者ギルド内には飲食スペースがある。今日はそこで昼食を取ることにした。
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