249 昼食! とんでもないメニューに驚愕……!
触った感じや匂いからして、食い物のようだが……。
俺が疑問に思っていると、ちんちくりんが同じものを取り出して食べて見せニコリと笑う。
どうやら食い物で正解のようだ。
しかし、モンスターが食べるものを人が食っても大丈夫なのか?
迷いが生まれる。が、ちんちくりんの訴えかけるような視線に負け、口へ放り込んだ。
甘い。どうやら甘味のようだ。中々旨いじゃないか。
「ありがとうよ。旨かったぜ。……あれ? 痛みが」
もらった甘味を食べ終えた瞬間、体の異変に気づく。
痛みを感じないのだ。甘味に鎮痛効果でもあったのだろうかと、傷口に触れれば感触がおかしい。
応急処置を外して患部を見てみると、完治していた……。どうなっているんだ。
「な、治ったのか……。もしかしてお前のお陰なのか?」
傷口が治っているのを見たちんちくりんは大喜びの様子で飛び跳ねていた。
くそ、憎めない奴だぜ。
しかし……、これでは。
「従魔の救助を受けたとなると失格だな。まあ、街に生還できるかも怪しかったんだ。ここは切り替えねえとな……」
試験失格。言葉に出すとショックを受け切れていない自分が居た。
あんなゼロにも等しい可能性に望みと未練を感じていたってことなんだろう。
傷が治ったのに落ち込んだ顔をしている俺に気付いたちんちくりんが、心配そうな顔でこちらに近づいてくる。
俺の側まで来ると、鞄から紙袋を取り出しごそごそとやり始めた。
紙袋の中から出した手には飴玉が握られていた。
ちんちくりんは大事そうな手つきで紫色の飴玉を俺に渡してくる。
慰めてくれているのだろうか。
いらないと手で制するも、ぐいぐいと飴玉を勧めてくる。
全く困った奴だぜ。
「分かった、貰うよ」
観念した俺はちんちくりんから飴玉を受け取り、口に放り込んだ。
子供の頃によく食べた懐かしい味だ。
こんなやつに心配されるなんて、俺もまだまだだな。
心配そうに見つめてくるちんちくりんに大丈夫だという意味を込めて笑って見せる。
するとちんちくりんは安心した表情を見せ、俺になにやら合図を送り少し距離を取った。
一体何をするつもりだ?
口の中で飴を転がしながら、ちんちくりんの様子を窺う。
ちんちくりんが両手をかざして力むと木の根と思わしきものが何本も生え、絡み合って机と椅子に変形した。
凄え……。
ちんちくりんが椅子をぺしぺしと叩き、こっちへ来いと身ぶり手振りで訴えてくる。
「座ればいいのか?」
言われるがままに椅子に腰掛け、ちんちくりんに尋ねる。
俺の問いに、ちんちくりんは満足したように強く頷いた。
そして、鞄から色々なものを取り出し始める。
携帯コンロや片手鍋、食器類だ。
ちんちくりんは片手鍋に生活魔法で水を入れて携帯コンロに載せ、皿をテーブルに並べ始めた。
そして、手を生活魔法で洗うと、次に食材を収納鞄から取り出し、手際よく魔法で洗っていく。
洗い終わった食材は、慎重な手つきでカットする。小さいくせに段取りがいいぜ。
次に、フライパンにパンを載せ軽く両面を焼くと、一旦取り出す。
それが終わるとベーコンをじっくりと焼いて取り出し、卵を割って落とした。
卵を割る動作に手馴れた感じが見られたので、普段からやっているのだろう。
卵が焼き終わると、二枚のパンの片側にバターと粒マスタードとソースを塗っていく。
それが終わると、トマト、レタス、ベーコン、卵、チーズをパンに挟み、対角線でカット。
サンドイッチってわけか。
カットしたものを皿に載せると、最後は沸いた湯をカップに入れ、額で手の甲を拭った。
特に汗をかいているようには見えないので、そういう仕草がしたかったのだろうか。
案外、このちんちくりんのマスターの癖を真似ているのかもしれないな。
ちんちくりんは完成したサンドイッチと白湯を俺に勧めてくる。
今回は飴とは違い、二人分ある。ちゃんと自分の分も確保してあるようだ。
「食っていいってことか?」
一応尋ねると、ぶんぶんと何度も首を縦に振る。
「それじゃあ、頂くぜ。ありがとうよ」
ちんちくりんに礼を言い、サンドイッチを頬張る。
うん、旨い。散々動き回って腹が減っていたので、あっという間に平らげてしまった。
白湯を飲み、ほっと一息。
正面を見れば、ちんちくりんも同じようにサンドイッチを食べ終え、白湯を飲んでいた。
俺と目が合うと、ニコリと笑いかけてくる。




