248 白銀級試験で窮地に……!?
俺は銅級冒険者のテリー。
ただいま絶賛昇級試験中だ。しかし、状況はあまり良くない。
俺は木にもたれかかり、そのままずるずると地面に座り込んだ。
「ちっ、やっちまったぜ……」
白銀級試験での単独討伐。
指定モンスターを倒すことには成功したが、カウンターを喰らっちまった。
傷は手当てしたが、動けない。
傷の回復を待つために、しばらく休む必要がある。
しかし、休めば制限時間内に街へ帰りつくのは絶望的だ。
一発合格するつもりが、なんて様だ。
仲間達にバレないようにわざわざミルティユの街まで来たというのに。
顔見知りが多い地元だと、試験を受けたことを気付かれてしまう恐れがある。
だから、魔走車レースを見に行くとウソをついて、ミルティユの街まで来て試験を受けた。
レースのついでに試験を受けたら一発合格したと言って、仲間を驚かせるつもりだったのだ。
それがこんなことになるなんて……。
とにかく、時間ギリギリまで休息し、傷が開かないことを祈って歩くしかない。
合格を目指すなら、それしか方法がなかった。
「テントを張って仮眠してみるか……。くそ、動けねえ……」
駄目だ。思うように体が動かない。
このまま身動きが取れないようでは、合格どころか街へ帰れるかも危うい。
こんなところをモンスターに襲われたら一巻の終わりだ。
テントが無理でも、せめて身を隠さなくては……。
そんな事を考えていると、前方の草むらがガサガサと動いた。
モンスターか!?
俺の傷ついた体が冒険者の本能に従って無意識に剣を抜き、身構える。
しかし、剣を持つ腕が痙攣し、安定しない。
体も木にもたれかかったままピクリとも動かない。
最悪だ。
じっとりと脂汗が流れ落ちる中、草むらが盛大に揺れ、何かがゆっくりと姿を現した。
それはバーテン服を着た何かだった。
幼い子供のように見えるが違う。
モンスターか?
俺が相手の正体をつかめない中、眼前のちっこい生き物は首から下げたプレートを大事そうにこちらへ掲げた。
あれは、ギルドの印。
よく見れば、プレートだけでなく腕章もつけている。
「なるほど、従魔か。俺と同じ試験中ってわけだな」
ほっと胸をなで下ろし、剣を降ろす。
ちんちくりんの従魔は、こちらの言葉が通じたのか、ニコリと笑ってこちらへ近づいてきた。
なにやら心配そうな顔つきで俺の方を見ている。
怪我のことが分かるのだろうか。
「ちょっと、やっちまってな。手当てをしたから気にしなくても大丈夫だ。お前も試験中なんだから、さっさと行った方がいいぞ」
と、応急処置をした傷を指差しながら説明する。
こいつも試験中なら、俺に構っている暇などないはずだ。
こんなところで時間を潰して失格になったら、テイマーの主に大目玉を食らってしまうだろう。
俺は向こうへ行けという意味を込めて、シッシと手を振った。
が、その動きが傷口に響く。
「ぐっ……、いてえ」
痛みのあまり、つい声が漏れてしまった。
俺のうめき声を聞き、ちんちくりんが慌てた様子でその場を駆け回る。
そして、鞄から白い玉のようなものを取り出して俺に渡してきた。
流れでつい受け取ってしまったが、これはなんだ?
触った感じや匂いからして、食い物のようだが……。




