247 お見送りするも、とんでもない事態に……!
それから数日。
「完璧だ」
連日の特訓の成果が出て、ミミはみるみる上達。
モンスターを探し出し、相手に悟られないように接近。
根で拘束して仕留めるという一連の行動をものにした。
ミミの特訓中、明らかに危ない個体はついでに排除しておいたし、そろそろ試験に挑んでもいい頃だろう。
特筆すべきは根を出す速度だ。以前は相手に気づかれた状態で正面から根を出しても、捕らえることは不可能だった。
しかし今は、格下の相手ならどんな状況でも拘束できる領域に到達している。
一応森の中で何度か寝泊りもしてみたが、それも問題ない。
自分で時計を見ながら起床し、規則正しい行動ができていた。
うちの子、凄いんです。
「ミミ」
『なあに?』
「モンスターを倒すのもうまくなったし、そろそろ試験を受けてみようか」
『うん! ミミ、やってみたい!』
「よし、機は熟した。行くか!」
『おー♪』
数日の特訓を経て、完璧となったミミを引き連れギルドへ向かう。
「銀級の試験を受けさせてください」
俺は堂々とした物言いで、受付のマーサさんに言った。
「分かりました。ギルドカードの提示をお願いします」
深く頷いた俺はカードを提出。受け取ったマーサさんが手続きをしてくれる。
「受け付けました。こちらのプレートを首から下げてください。後、腕章も付けてください」
ギルドカードの返却とともに、首から下げる札と腕章を受け取る。
しかし、付けろと言われても首にも腕にも入らない。
これ、小さいぞ。
「両方とも小さいんですけど」
「ミミちゃん用ですよ。冒険者に従魔と判断してもらうためのものです」
「おっと……。ミミ、これを付けようね。冒険者の人に会ったら見せるんだよ」
マーサさんの説明を聞き赤面。てっきり自分が付けるのかと思った。
俺は照れ隠しに、ミミに札をかけ、腕章を付けてあげる。
『こう?』
俺の説明を聞いたミミが両手で札を持ち、前にかざす。
「そうそう。いい感じ」
『んふー♪ マスターの従魔のミミだよ!』
ドヤッ、と言わんばかりに札を見せ付けるミミ。
「ばっちりだな」
かわいいぜ。
「試験官は私が勤めさせてもらいます。それでは街の外に向かいましょうか」
「よろしくお願いします」
『よろしくお願いします!』
俺とミミはマーサさんに挨拶し、一緒に街の外へと向かった。
門前に到着し、マーサさんから説明を受ける。
「制限時間は八時間。その間に指定されたモンスターの中から一体を倒して死骸か討伐部位を持ち帰ってください」
「了解しました。ミミ、時間の確認はいい?」
『うん。今が十時だから、おやつの時間までに帰ればいいよね?』
「そうそう。急いで迷わないようにね」
『分かった!』
ミミから元気の良い返事を頂く。
ちゃんと理解しているようだし、問題は無さそうだ。
「準備できましたか?」
マーサさんから最終確認が来る。
「はい、いつでもいけます」
『うん!』
「それでは始め!」
俺たちの返事を聞き、マーサさんが開始の合図を出した。
試験開始だ!
「ミミ、頑張って!」
『行ってきます!』
元気一杯に挨拶したミミが目的地の森へ向けて歩き出す。
「行ってらっしゃい! 遅くなったらモンスターを倒していなくても帰ってくるんだよ」
俺は手を振ってミミを見送る。
『はーい!』
ミミはこちらへ振り向くと軽く手を振り返してくれた。
そして、正面へ向き直ると森の方へと駆けて行き、姿が見えなくなった。
頑張れ!
「く……、後を追いたい……ッ!」
うう、もう我慢出来ない!
心配だ……。
「駄目ですよ。失格になりますよ」
マーサさんがじっとりとした目でこちらを見てくる。
「ミミーッ!!!」
俺はその場に崩れ落ちながら、ミミの名を叫んだ。
「そんな大げさな……」
マーサさんが呆れ顔で呟く。
「うぐぐ……。し、心配だ……」
試験終了まで後八時間。
今日は長い一日になりそうだ……。




