246 急成長! 特訓の成果があらわれる!?
そして、翌日。
昨日よりステップアップした料理を作った後、本命の訓練に入る。
「次はとうとうモンスターを倒してみようか」
ぐ、心配だ。
初めだし、充分に弱らせた個体を倒させようか……。
だが、それで油断が生まれては意味がない。
どちらかというと、余裕で勝てる弱い個体を相手にして慣らしていく方がいいか。
この辺りで一番弱いとなると、レッドウルフ辺りかな。
レッドウルフは群れで行動されると厄介だが、単体ならそれほどでもない。
「それじゃあ、モンスターを探しに行くよ。今日探すのはレッドウルフっていうモンスターだよ」
『はーい!』
「モンスターを探すときは、相手の気持ちになって考えるんだ。どこを歩くか、何を食べるのか、住む場所はどこがいいか、とかね」
『ミミは大福が好きなの!』
「そっかあ。今から探すレッドウルフは肉が好きなんだ。だから動物や人を狙うんだよ」
『ッ!? ミミも食べられる?』
と、ミミがびくっと身を震わせる。
「そうなるなぁ。だから、気をつけないといけないんだ」
ちゃんと危ないことは危ないと言っておかないとな。
ミミなら強いから大丈夫と言って安心させることもできるが、試験では側にいられない。
しっかりと、危機感を持ってもらおう。
やっぱり、油断するのが一番危険だからね。
『分かった! 気をつける!』
両拳を握り締めたミミが表情を引き締める。
かっこいいぞ。
「じゃあ、足跡や巣になりそうな場所を教えるから、見て行こうね」
『はーい!』
ミミにモンスターの痕跡を教えながら、森の中を進む。
しばらく探索を続けていると、レッドウルフが単体で行動しているのを発見した。
「あそこに一頭いるな。見える?」
『うん、お肉を探してるのかな』
俺たちは身を隠したまま、レッドウルフの様子を窺う。
まだこちらには気付いていないようだ。
「そうだろうね。ミミ、モンスターに気づかれないように根を出して縛れる?」
『やってみる! どっこいしょー!』
ミミが両手をかざし、力を込める。
次の瞬間、レッドウルフの足もとから大量の根が生え、あっという間に全身を拘束した。
「おお、うまいうまい。前より、根を伸ばすのが速くなってるね」
以前はニョキニョキという感じだったが、今はズバーンといった勢いだ。
レッドウルフも驚いて、対応できていなかった。
『強くなったから、速く伸ばせるようになったよ!』
「なるほど、レベルアップの効果かな」
レベルアップして基礎能力値だけでなく、草木の扱いも強化されているわけか。
「それじゃあそのまま、根で首を捻ってみて」
と、ジェスチャーしながら指示を出す。
『こう?』
ミミが、自信なさげに根を動かす。
すると、レッドウルフの首がコキリと音を立てて180度曲がり、絶命した。
手早い。大型のモンスターも楽々拘束できるミミの根なら、中型程度のモンスターの首を捻るくらい容易い。
これなら出血もないし、死骸の回収も楽だ。
「うん。それで倒せたよ。上手に出来たね」
と、頭をなでる。
『えへへ』
「前も言ったけど、人に使っちゃだめだからね?」
ここは念押ししておかないとな。
今のミミは相当強くなっているので、いたずら気分で使ったら大惨事だ。
『うん!』
「次は全部一人でやってみようか。俺は後ろで見てるね」
次は実践だ。
今教えたことを思い出しながら、一人で出来るかな?
『分かった! やってみるね?』
「頑張れ!」
やる気を見せるミミの言葉を聞き、俺は笑顔で頷き返した。




