244 特訓を開始するも、とんでもない事態に……!
特訓中は魔走車の製作を手伝わなくて良いという許可を得て、その日から早速準備に入った。
「まずは準備をしよう。道具をそろえないとね」
『はーい!』
俺は買出しのため、元気な返事をしてくれるミミと一緒に商業区へ向かう。
市場に着くと、よく利用する店を回って思いつく限り買ってみた。
「……っとまあ、これくらいかな」
『一杯買ったの』
基本的に俺が使っている道具の子供用を買えば大体揃うはず。
後は実際に試してみて、足りないものがあったらまた買いに行こう。
買い物を終えると、次の準備のために一旦街を出て、森へと向かう。
「後は買った物を入れる鞄を作らないとな」
『鞄ならあるよ?』
以前買ってあげた鞄を掲げたミミが首を傾げる。
「もっと一杯入る奴にするんだ。それだとモンスターが入らないからね」
今回はモンスターを討伐しないといけない。
討伐部位を持ち帰るのがベストだが、死骸をそのまま持ち帰っても大丈夫なようにしておきたい。
そうなると、ミミが使っている収納鞄では入らない。
そもそも、今買ってきた物も全て入れることもできないのだ。
というわけで、これを機にミミ専用の大容量収納鞄を作ってしまうことにする。
『お家も入る?』
「そうだな、やるならそれくらい入るようにしてしまうか」
ミミの質問は収納容量についての素朴な質問だったが、折角なんだから限界に挑戦してみるのも悪くない。
そんな強力大容量な収納鞄を作る材料なんて普通は調達不可能だが、俺にはブラックドラゴンという当てがある。
俺はブラックドラゴンの死骸を取り出すと、創造補助スキルで条件を満たす魔法陣の検索に入る。
今回の検索条件は――。
「魔石の取替えは面倒だから、千年くらい持つ仕様で。収納容量はドーム三個分くらい。内部の時間進行も停止か緩やかにしてしまおう。ついでに、ミミ以外には収納鞄の機能を使えないようにしよう。他の人が触るとロックがかかって普通の鞄になる、と。見た目は小さなショルダーポーチがいいかな」
――こんなところだろうか。
条件を絞り、さらにそれをブラックドラゴンの死骸と内部の魔石から収納鞄を生成する魔法陣を検索。
あとは魔力で魔法陣を描くだけだ。
「それじゃあ、魔力を通してっと」
完成した魔法陣に魔力を通し、指を鳴らす。
すると、白煙が上がり、小さな収納鞄が姿を現した。
今回は死骸内の魔石は残らず、軽い疲労感を覚えた。
かなり無茶な仕様にしたせいか、ちょっと必要魔力がギリギリだったようだ……。
「完成だ。ミミ、今日から鞄はこっちに代えようね」
出来上がった完成品をミミにかけてあげる。うん、似合うぞ。
『わぁ! かっこいいね。マスター、ありがとう!』
鞄を身につけたミミは大喜び。
ここまで喜んでもらえると、作った甲斐があるというものだ。
「次は鞄に荷物を入れていこうか」
『何を入れるの?』
「食料と、調理器具、食器。テントとログハウスも入れておくか」
ミミに聞かれ、さっき購入した物をアイテムボックスから取り出す。
ついでに、以前買ったテントと自作したログハウスも出す。
これで雨風も防げるな。
『いっぱい入るね!』
ミミは収納鞄に沢山物が入るのが嬉しいらしく、リズミカルに収納していく。
小さなポーチになんでも入る様は傍から見ると、不思議な光景だ。
他に何か必要な物はあるかな……。
「そうだ、テーブルと椅子もいるな」
屋外で休憩や食事をする時にあると便利だ。
買ってこなかったので、トレントで自作するかな。
俺がテーブルと椅子を作ろうとすると、ミミが大丈夫と言ってきた。
『それは作れるの』
と、ミミが手をかざし、根っこを編み上げて椅子と机を作り出して見せた。
出来上がった椅子にピョンと腰掛け、俺に手を振って見せる。
「おお、凄いな。それならいいか」
と、ミミの技に驚かされる。いつもながら器用なものである。
「後は武器をどうするか……。今回はやめておくか。ひとまずはこのくらいかな」
迷ったが、武器の類いは渡さないことにする。
誤って自分を傷付ける恐れがあるからね。
攻撃手段なら色々あるし、自分の動きを阻害する大きな刃物を持たせる必要はないだろう。
防具は、ブラックドラゴンを素材にしたバーテン服を着ているので大丈夫だ。
『色々入ったね』
満足そうな表情をしたミミが収納鞄を撫でながら言う。
「明日は今日買った道具を使う練習だね」
これで準備完了。
今日はここまでにして、残りは明日以降にする。
『んふー♪ ワクワクするの』
準備は整ったので、次は実践だ。
さて、何から始めるべきか。




