241 昇級試験! 衝撃の展開に……!?
森の方に気を取られていたが、隣接する死の大地という言葉には覚えがある。
確か、勇者を召喚するほどのモンスターが居座っているエリアだ。
「数年前から凶悪なモンスターが住み着いているので、そういう地名になりました。件のモンスターは滅多に縄張りの外には出ないんですが、近づけば容赦なく襲ってきますので」
「ああ、そんな話でした。その凶悪なモンスターというのは群れなんですか?」
その時はひっ迫している状況ではないと判断し、あまり詳しくは聞かなかった。
ずっと手こずっているというし、複数体いるのだろうか。
「いえ、一体です。ですが途轍もなく強いですよ。何度か討伐しようと試みたのですが全て失敗しています。最後の手段として、勇者に討伐してもらう予定だったんです。ですが、ブラックドラゴンの急襲を受けて、予定が狂ってしまって……」
「確か、ブラックドラゴンを倒した勇者は帰ちゃったんですよね」
事情は知っているが、とぼけ気味のあいづちをうっておく。
「そうなんです。だからまた召喚準備を始めているところらしいです」
「そうだったんですね。ちなみに、帰ってしまった勇者の召喚準備にはどの位かかったか知っていますか?」
一応、どのくらいの準備期間が必要なのか聞いておこう。
そうすれば逆算して猶予がわかる。
いつかは倒しに行かないといけない相手だからな。
「うう〜ん……。討伐隊が組まれなくなったのが、二年前なので、最速でもその後からだと思いますね」
「約二年か。結構時間がかかるんですね」
「はい。とても大変らしいですよ?」
聞く限り、今日明日にでも勇者が召喚されることは無さそうだ。
これなら死の大地の主と早急に戦う必要はない。
死の大地の近くまで行くことになるが、今回は戦闘を見送って素材探しに専念しよう。
「とりあえず、銀級を目指すのであれば、試験を受ける必要がありますね」
と、マーサさんが話題を戻す。
そうだ、試験を受けないと。
「受けたいです。どうすればいいでしょうか?」
「本来はランクごとに試験を受ける条件を満たしているかどうかが判定されて、受験となるのですが……」
「はい」
「その……、まるもっちーさんの場合はギルドマスターに確認を取った方がよさそうですね。恐れ入りますが、一緒に来ていただけますか」
「分かりました」
案内され、ギルドマスターの部屋へ通される。
部屋へ入ると、マーサさんが事情を説明してくれた。
「なるほど、魔走車の部品を作る素材が欲しくて、乱獣の森に入りたいと……。で、特例で入るより、しっかりと試験を受け、ランクアップしてから正規の手段で入りたいんだな。ふむ、いい心掛けじゃねえか」
事情を把握し、ギルドマスターが納得顔になる。
「それで、俺は受験資格を満たしているのでしょうか?」
「そこはギルドマスター推薦ということで大丈夫だ。問題は試験の方だな……」
と、言い淀むように一拍の間を置き、続ける。
「銅級は金冒険者とのハンデをつけた模擬戦。白銀級は指定モンスターの単独討伐なんだが……」
またもや考え込むように言葉を区切るギルドマスター。
「俺は、大切な金級冒険者をお前と戦わせて失いたくない! 死なせたくないんだ!」
こちらを見つめたギルドマスターがくわっと目を見開き、机を盛大に叩いた。
「死なせたくないって……」
そんな大げさな……。
模擬戦で死亡事故なんて起きるわけないのに。
まるで俺が軽くこついだだけで、頭が破裂しそうな勢いで否定されたな……。




