226 打ち合わせ! とんでもない事実が発覚……!
翌日、準備を整えた俺たちは長距離レースのスタート地点へと向かった。
そこは普段は閉じられている門だ。
今は門が開かれており、広大な通路が開放されていた。
いわゆるイベント用の特別ステージである。
走行路は出場する魔走車が全て止まれる広さが確保されており、両端には客席もある。
まだスタートまでに時間はあるが、客席はすでに満席に近い状態だった。
イベントの最後を締めくくるレースだけあって、盛況なようだ。
出場者はそれぞれのポジションに魔走車を止め、受付で手続きを行っていた。
どこを見てもスタッフが行き交い、忙しなさが伝わって来る。
短距離とは規模が違うし、独特の雰囲気があるな。
俺たちが周囲の様子を窺っていると、スタッフの一人がこちらへ駆け寄ってきた。
「貴方達が今回レースに同行してくれる方々ですか?」
「はい、まるもっちーと言います。こっちは従魔のミミです。よろしくお願いします」
『こんにちは!』
「ジョゼだ、よろしく頼む」
と、自己紹介を済ませる。
「こちらこそよろしくお願いします。スタートは一時間後となります。ギルドマスターから詳細は窺っていると思いますが、何か質問はありますか?」
「先頭集団に付いて行けばいいんですよね?」
それで事故やコースに異常があった場合、対応すると。
「はい、その通りです。ただし、レース開始から十分遅れでスタートしてもらいます。初めはどうしても順位争いが激しいので、それを避けてもらいたいのです」
「了解しました」
まあ、スタッフがレースの邪魔をしたらいけないよな。
でも、十分遅れで先頭に追いつけって無茶苦茶だろ……。
俺はともかく、ジョゼさんは追いつけるだろうか。
と、ジョゼさんの方を見る。
「その条件では、さすがに追いつけないかもしれないな……」
「ですよね」
そりゃあそうか。
となると……。先頭集団に追いつくまでは俺が担ぐか。
「ッ!? その顔は知っているぞ! やめるんだ!」
何かを察したジョゼさんが強烈な拒否反応を示す。
「まだ何も言ってないんですけど。……でも正解です」
く、悟られてしまったか。
「嫌だ! 他の案を考えよう!」
「分かりました。俺たちがスタートするまで七十分あります。その間に代案が浮かんだら教えてください。何も思いつかなかった場合は俺が運びます」
と、猶予を与える。
「ぐぉおおお……、考えろ、考えるんだジョゼ! 今まで培った錬金術師の経験を活かすんだ!」
俺の条件を聞いたジョゼさんは唸り声を上げながら頭から湯気が出る勢いで考え始めた。
そんな中、こちらの会話が一段落ついたと見て、スタッフの人が話を続けてくる。
「時間差で出発するのはスタート地点だけで大丈夫です。チェックポイントに着いた後は、順位ごとにスタート時間が変更されます。まるもっちーさんたちは先頭集団と同時にスタートしてください」
「分かりました。連絡手段とかはないんですか?」
何か起きたときに、お伺いを立てたりしないのかな?
こっちの判断で動いていいのだろうか。
「連絡を行っても、そこで協議されて決定までに時間がかかっていては貴方に同行してもらう意味がありません。そもそも今まで大きいトラブルが発生した場合は一旦レースを中断し、チェックポイントからスタッフが駆けつけて対応していました。ですので、あまり深く気にしなくていいですよ」
「了解しました」
「多分、今回だけの対応になると思いますしね。だって、普通は先頭集団と併走できる魔走車なんていないですから……」
「ですよね」
今回限りの特別サービスというわけか。
まあ、トラブルが起きても長時間レースを中断せずに済むから、観客には楽しんでもらえるだろう。
「お客様も映像を見て、驚かれると思いますよ」
「え……、映像が流れるんですか!?」
初耳だ。というか、この世界にはそんなものまであるのか。




