225 方針決定! まさかの事態に……!
ここはギルドマスターに話して許可を得ておいた方がいいな。
「錬金術師が同行すれば、色々と出来ることもあるとアピールしておいてくれ。それで私はヴィヴィの勇姿を側で見ながら、試運転できる」
「……ジョゼさん」
ジョゼさんの発言内容から本当の目的が漏れ出ていた。
色々言ってるけど、ヴィヴィアンさんを応援したいだけじゃないか……。
「一石二鳥になるんだし、いいじゃないか!」
俺の視線を受けたジョゼさんが逆切れする。
「とりあえず聞いてきますよ。急な話だし、あまり期待しないで下さいね」
前日に急遽参加を希望するんだから、断られる可能性の方が高い。
「分かった。駄目だった時は大人しくその辺を走っているさ」
「じゃあ、行ってきますね」
「頼んだ」
俺はジョゼさんに頷き返すと、ギルドへと向かった。
受付で話を通し、ギルドマスターとの面会を済ませる。
全てを数分で済ませ、素早く工房へと帰った。
「戻りました」
「どうだった?」
手で丸を描きつつ、ジョゼさんに応える。
「OKが出ました。同行しても大丈夫ですよ」
「そうか、よくやった!」
俺の報告を聞き、大喜びのジョゼさん。
「ギルドマスターが短距離レースの本選を見ていたみたいで、ジョゼさんのことをよく知っていましたよ。話も弾んで、すんなり許可が出ました」
ぶっちゃけ、交渉らしい交渉もしなかった。
むしろギルドマスターの方が乗り気だったくらいだ。
まあ、楽に話が進んだのは助かったけどね。
「ま、まるで有名人になったみたいだな」
俺の報告を聞き、ジョゼさんが頬を赤らめる。
「実際有名人だと思いますよ? 本選に出場した全ての魔走車を周回遅れにして、優勝寸前までいったんだから」
あれだけ一方的な試合展開を見せたんだから、優勝者より注目されていることもありえる。
「しかし結果が失格なだけに恥ずかしい……」
「そこは諦めていくしかないですね。それより、明日の準備をしましょう。急がないと時間がないですよ」
もともと俺とミミだけで行く予定だったので、気楽に構えていた。
が、ジョゼさんも行くとなると色々と準備する必要がある。
長距離レースは一日でゴールには着かないので、それなりに用意が必要なのだ。
「そ、そうだな。急ごう」
俺の言葉にジョゼさんも慌てて動き出す。
「ジョゼさん」
言っておかなければならない事に気づいた俺はジョゼさんに声をかけた。
「ん、なんだね」
「今回は仕事なので、もしジョゼさんの魔走車に不具合が出たり、速度が出なかったりした場合は置いていきますね」
一応調整は終わっているが、万が一という事もある。
故障やトラブルに見舞われた場合、俺がどうするかをあらかじめ言っておく。
今回優先すべきは出場者であり、依頼だ。
ジョゼさんの魔走車の調整を手伝って、本業をおろそかにするわけにはいかない。
「そうしてくれ。レースの安全の方が重要だ」
ジョゼさんも当たり前だと、了承してくれる。
まあ、皆で無事にゴールまで辿り着けるのが一番いいんだけどね。
話を終えた俺たちは、準備を再開した。
宿泊に必要な道具類、衣服、食料を手分けして集める。
レースは明日。今日は忙しくなりそうだ。




