202 予選終了するも、とんでもない事態に……!
「いいのか、ヴィヴィ」
「うちは野外にテスト走行へ行くから問題ないわ。施設の利用許可に関しては格安で提供する事にすれば、ギリギリセーフのはずよ」
ヴィヴィアンさんは長距離レースに出場するので、逆に野外でのテスト走行が必要になる。
その間、あの広い工房にあるテストコースが空くというわけか。
「すまない、恩に着る」
と、姿勢を正したジョゼさんが深々と頭を下げた。
「そこまでしてあげるんだから、勝ちなさいよ」
「言われるまでもない。そのつもりだ」
「分かっていればいいのよ」
あっという間に、二人の間で話がまとまってしまう。
ジョゼさんとヴィヴィアンさんって本当に仲がいいよな。
などと思って二人を見ていると、ジョゼさんがもじもじとしながら口を開いた。
「ところで頼まれついでに、もうひとつあるんだが……」
「何よ、さすがに部品はあげないわよ?」
「違う、そういう類いじゃない。その……、予選を通過したので、本選のチケットが手に入ったんだ」
「それはそうよね」
ふんふん、と頷くヴィヴィアンさん。
この話は俺も知っている。
以前、ジョゼさんから聞いたが、本選に出場するのはこの街の錬金術師にとって、とても栄誉なことで目指すゴールのひとつとして認識されているらしい。
その辺りのことを街長が汲んでくれて、本選出場者の家族、関係者を特別席に招待できる仕組みがあるのだ。
自分の晴れ舞台に親しい人を招待してもいいよ、という粋な計らいなのである。
「それで……、だな。チケットを両親に渡して本選に招待したいんだが、一緒に実家に帰ってもらえないだろうか」
ちらちらと様子を見ながら、ジョゼさんが俯きがちに頼み込む。
「い、嫌よ! なんでアンタと一緒に帰らなきゃならないのよ」
「そ、そこをなんとか! 家までじゃなくていいんだ。近くまででいいから」
「もう……、仕方ないわね。私の予選が二日後にあるから、それを通過したら一緒に報告に行きましょ。それでいいでしょ?」
「助かる! 予選も応援に行くから!」
ヴィヴィアンさんからOKを貰い、ぱっと顔を輝かせるジョゼさん。
「応援は駄目よ! アンタはちゃんとテストしなさいって! 時間ないでしょうが!」
「わ、わかった……」
もっともな事を言われ、ジョゼさんがしゅんとする。
「応援には俺が行きますよ。ジョゼさんの分まで目一杯応援しますんで」
『ミミも一杯応援するね!』
応援は俺たちに任せてくれと、ジョゼさんに言う。
どの道、ジョゼさんの作業は手伝えないので、しっかりと観戦して結果を報告しよう。
「いいじゃない。私も嬉しいわ。アンタも頑張りなさい」
「ああ! 家に帰る約束も頼んだぞ!」
「分かってるわよ。全く……、その元気を使って家に帰ればいいのに」
というわけで、ジョゼさんの帰省にヴィヴィアンさんが付いていくことになった。
この感じだと俺たちも同行するのかな?
後で確認しておこう。




