201 ジョゼの口から、とんでもない事実が発覚……!
「さて……、そろそろ私は帰るわ。今度はちゃんと整備をして、テストもしておくように言っておきなさい。本選までぶっつけ本番でやられたら、こっちの身が持たないわ」
「会っていかないんですか?」
「まあね。こっちは予選がまだなのよ。いつまでも遊んでいられないわ」
「きっとジョゼさんなら、通過するに決まっていると言うと思いますけど」
そんな姿が容易に想像できる。
間違いなく数分前のヴィヴィアンさんと同じようなことを言うに違いない。
「だからよ。アイツに恥ずかしい所は見せられないわ。それじゃあね」
「応援、ありがとうございました」
「ふん、短距離用の魔走車を偵察に来ただけよ」
俺がお礼を言うと、ヴィヴィアンさんがそっぽを向く。
言っていることが色々矛盾している気もするけど……。
まあ、いくら聞いてもはぐらかされそうなので、そっとしておこう。
ヴィヴィアンさんを見送った後、俺たちはジョゼさんを迎えに関係者入口へと向かった。
ミミと二人で待っていると、魔走車を押してこちらへ来るジョゼさんが見えた。
「予選通過おめでとうございます。お疲れ様でした」
そう言って魔走車を代わりに持ち、アイテムボックスへとしまう。
「ありがとう。初めは慣れないせいで操作に手こずったが、君の贈ってくれたスーツのお陰で途中から思い切った運転ができたよ」
「確かに。周回を重ねるごとにコツを掴んでいる感じがしました」
時間が経つにつれ無駄が削ぎ落ちて、タイムが縮んでいくのが見ていて分かった。
「実は魔力の残量が大量にある状態でゴールしてしまったんだ。もっと速度を出すべきだったのだが、加減が分からなかった。その辺りの最適値を出すためにも、テスト走行が必要だと痛感したよ」
なんと、まだ余力があったのか。ということは予選一位通過も狙えたってことだ。
これは本選もいい結果が出そうだな。
「確か、本選は一週間後なんですよね?」
それならテストする日を捻出する事はできそうだ。
「ああ。だが、大規模な練習が行える施設は大手の工房が押さえていて使えないだろうな。そもそもお金がないので、空いていても予約すらできない」
ジョゼさんが難しい顔で腕を組む。
テストしたいが、場所もお金もない。
時間に余裕ができたと思ったら、新たな問題発生だ。参ったな。
「むむ……。そういった費用を俺が出したり、練習の補助に入ったりするのも規約的には駄目なんですか?」
「駄目だな。事前に登録していない人物の協力は認められない。君に貰ったスーツは盲点だったが、次回からは禁止になるかもしれないくらいだ」
「かといって、無理に屋外を走るのは危ないですよね」
テスト走行で事故になったら意味がない。
そういう意味でも整備された環境で走るのがベストだ。
野外の道で走っても、いい結果には繋がらないだろう。
「うちの庭を格安で使わせてあげるわ! 人は貸せないけどね!」
と、どこからともなく声が聞こえてくる。
声がした方を見れば、腰に両手を当てたヴィヴィアンさんがちょっと高めの台に立っていた。
帰ったんじゃなかったのか……。




