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198/415

198 会場でまさかの人物と遭遇……!

 

 そして予選当日。



 朝早くに工房を出た俺たちは、関係者入口でジョゼさんを見送る。


「そ、それじゃあ行って……くッる」


 緊張しているのか、ジョゼさんが目を泳がせながら言葉を詰まらせた。


 ちょっと心配だな……。


「まるもっちー君、ちょっと手を握らせてくれないか?」


「はい、分かりました」


 ジョゼさんの要望に応え、手を差し出す。


 途端、ガシッと手を掴まれ、思いっきりニギニギされた。


「柔らかい……。ちょっと落ち着いたよ。ありがとう」


「いえいえ」


『ん!』


 俺たちの様子を見ていたミミが、ジョゼさんに手を差し出す。


「よし、ミミ君とも握手だ」


「頑張ってください。客席から応援してます」


『頑張ってね!』


「う、うん。行ってくる……」


 握手を終えたジョゼさんは自信なさそうに頷くと、魔走車を押して関係者入口へと入って行った。


 俺たちは予選通過できますようにという気持ちをこめてジョゼさんの背に向けて目一杯手を振った。頑張って!


 見送りを済ませた後、チケットを購入して入場した俺たちは、客席へと移動する。


 特別な席は予約制だったらしく、ずっと前に売り切れ。


 俺たちが取れた客席はいわゆる自由席だった。空いている席に先着で座るという仕様だ。


 ジョゼさんを見送ってから来たので、いいところは既に埋まってしまっている。


 空席を探して分かったが、ほぼ満席状態だ。それでもなんとか空きを見つけて着席する。


 一大イベントというだけあって、予選でも大人気である。


 俺たちの席は、走行路から離れている上段なので、ジョゼさんからはこちらが見えないかもしれない。


 姿は見えなくても、なんとか声援だけは届かせたいな。


「じゃあ、ここでレースを見ようね」


『わぁ、人が一杯だね』


 満席の様子を見て、ミミが驚きの表情となる。


「うーん……、こんなに人がいてジョゼさんは大丈夫かな」


 今日に備えてずっと人見知りを克服する練習もしていたらしいけど……。


「そりゃあ、駄目でしょうね。ガチガチになって実力を出せないんじゃないかしら」


 と、俺の呟きに対して背後から声が返ってくる。


「ヴィヴィアンさん?」


 誰だろうと思って振り向けば、ヴィヴィアンさんの姿があった。


「うふふ、来てたのね。貴方、大きいからすぐ分かったわ」


 そう言いながら、隣に着席する。


「そりゃあ、応援しないといけないですからね。ヴィヴィアンさんは一人なんですか?」


 今日は助手の人たちと一緒じゃないのだろうか。


「ええ、本選は全員でジョゼを冷やかしに行くつもりだけど。今日は予選だから、私一人で問題ないわ」


「実力を出せないとか言ってるわりに、ジョゼさんが本選に行くことを疑ってないんですね?」


「ち、違うわよ! 本選は大手の工房の作品を見るいい機会だから、全員で来るって話。ジョゼとは関係ないんだから!」


 ヴィヴィアンさんが急に声を荒らげて、まくしたてる。


 何をそんなに焦っているのだろうか。


「ふーん」


『ふーん』


「な、何よ、二人して!」


「そんな事より入場が始まりましたよ」


 丁度ファンファーレがなり、出場者が魔走車とともに入場してくるところだった。


「本当なんだから!」



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