187 買い取り査定! とんでもない展開に……!
俺とミミは冒険者を助けられたことを喜びながら、街に戻り素材買取所へ向かった。
「いらっしゃい。アタシはシンディー。今日はどんな用だい?」
素材買取所の受付に行くと、陽気な雰囲気の女性が対応してくれる。
「素材の買い取りをお願いします。数が多いんですが、ここで出しても大丈夫ですか?」
「どのくらいだい?」
「三百ですね。あ、解体は済んでいます」
と、詳細を告げる。
解体済みの素材を持ち込むのは初めてだから、ちょっと緊張するな。
「へぇ、大量だね。後で仲間が持って来るのかい?」
「いえ、アイテムボックスに入っています。今すぐ出せますよ」
「そんなに大量に収納できるなんて凄いねぇ。それじゃあ、奥の場所を使おうか。付いておいで」
手招きするシンディーさんに案内され、倉庫のように広い冷蔵庫に通される。
中はほぼ空の状態だった。これなら素材を大量に出しても大丈夫そうだ。
「皮、骨、爪なんかはこの辺に出しとくれ。内臓と肉はあの台の上に頼むよ」
「はい。お願いします」
シンディーさんの指示に従い、順に素材を出していく。
全て置ききると、一気に冷蔵庫内が素材で一杯になってしまった。
こうやって客観的に見ると、随分と溜めていたことに気付かされる。
「本当に三百あるとはねぇ。冗談半分に聞いていたよ。おーい! 手伝っておくれ」
と、シンディーさんが冷蔵庫の外へ声を掛ける。
すると、係の人が数人駆けつけ、冷蔵庫へ入ってきた。
「了解っす。おお、凄い量ですね」
「昨日まで空っぽだったのに、一杯になってる……」
「だろ。片っ端から見ていくよ。盗ったりしないけど、あんたも立会いな」
「分かりました」
俺の目の前で素材買取所の人たちがテキパキと動き、素材を検分していく。
皆真剣な表情で、無駄口一つ叩かない。
俺もその様子を静かに見守った。
時々、係の人から小さな歓声が上がるのが気になるな……。
いくら位になるのだろうか? ちょっとドキドキしてきたぞ。
「……これは誰が解体したんだい?」
シンディーさんが手を止め、神妙な顔で聞いてくる。
「俺です。もしかして品質がよくないですか?」
これは状態が悪くて買い取り不可とかだろうか。
やっぱり、おおちゃくせずに専門の人にやってもらうべきだったな……。
「逆だよ。皮と骨に肉が一切付いていない。臓器も傷なしで、丁寧に洗浄済み。こんなに綺麗に解体してあるのは生まれて初めて見たよ。どうやったか知らないけど、解体が得意なうちの連中でも誰も真似できないね」
「ちょ、ちょっと特殊な方法を使ったんで……」
俺はしどろもどろになりながら言い訳した。
普通なら刃物を使って解体するが、俺は錬金術でやった。
そのせいで、本来なら解体時にできる痕跡が一切ない。
結果、あり得ないほど綺麗に出来すぎてしまっていたのだ。
シンディーさんの話を聞き、今さらながらにそのことに気付く。
「なるほど、秘伝の方法ってわけかい。まあ、これだけの技術なら口外できないよねぇ」
「あはは……」
一人納得するシンディーさんを前に、俺はただ苦笑いするしかなかった。




