182 新たな依頼! まさかの事態に……!
その後、オムライスを二十個ほど作ったところで、その日の調理を終わりにした。
片付けを終え、外に出て鞄を確認してみる。
「盗られなかったな……」
残念ながら鞄は元あった場所から全く動いていなかった。
「まあ、初めてだし、これからだな」
次は場所にこだわってみよう。
置き引き犯がいそうな所っていうと、人通りがありつつも人気のないところかな?
例えるなら、大通りの側の路地裏や、死角になるような場所。
この辺りだと、街道に近い森や野営地に適した場所だろうか。
中々難しい条件だが、探してみるか。
などと次にログハウスを置く場所を考えながら移動している間に工房へ帰り着き、夕食の準備を行う。
といっても、作ったものを並べるだけなので大して時間は掛からない。
あっという間に料理が出揃って食卓が華やかになる。
今回はオムライスがメインのため、黄色と赤が映えてとてもカラフルな感じだ。
「さて、ジョゼさんを呼びにいくか」
『うん! 早く行こ! ミミね、お腹が減ったの』
ミミに急かせされて作業場に向かい、ジョゼさんを呼ぶ。
その後は皆でダイニングに集合し、夕食タイムに突入だ。
「今日はオムライスです」
「うむ。美味しそうだ」
『わあ! 黄色いから卵だね!』
「よく分かったね。卵で包んであるんだよ。それじゃあ、いただきます」
「いただきます」
『いただきます!』
スプーンでよそって一口食べる。うん、上出来だ。
味見したし、まずくはない。むしろ美味しく出来ている。
まずいのは形だけなのだ。
くう、もっと綺麗に成形できるようになりたいぞ。
「今日のメニューも美味しいよ。最近は夜が楽しみだ」
と、ジョゼさんが笑顔で言った。
「ありがとうございます」
素直に褒められるとちょっとこそばゆいな。
『ッ! 中はご飯なの! 味がついてるね』
「ミミの好きな味?」
『うん、大好き! オムライス、美味しいね』
ミミにもオムライスは好評のようで喜んでもらえたみたいだ。
「そうか、良かった。また作るね」
『やったー!』
こんなに嬉しそうにしてくれるなら、いくらでも作りますとも。
そして、いつかは綺麗な楕円に仕上げてみせるぜ。
作り置きもたっぷりあるし、そのうち出してあげよう。
と、皆で楽しくオムライスを堪能していると、ジョゼさんから工房の依頼の話をふられた。
「まるもっちー君。以前話していた依頼が来た。明日、商品の取り付けに行ってほしいんだが、大丈夫かな?」
「行けます。どこに何を届ければいいんですか?」
錬金術師としての初仕事か。どんな物の取り付けかな。
「お得意さんであるマーガレットさんのお宅に、コンロとオーブンの取り付けに行ってほしい。地図を渡しておこう」
「了解です。届ける商品はどこにあるんですか?」
地図を受け取りながら、持って行く魔道具について尋ねる。
「下に届いているよ。明日、家に向かう前に簡単な説明をしよう」
「助かります。緊張するなあ」
自分のことなら気にならないが、ジョゼさんの工房の評判に繋がるし、頑張ろう。
「そう構える必要はない。運んで、置いて、魔石をセットして起動を確認するだけだ。難しい工事は発生しないから気楽にいくといい」
「それなら簡単そうですね」
元の世界の大型家電なら取り付け工事が必要だが、こっちの魔道具はそういったものがないのか。これは助かるな。
「うむ。明日は頼んだよ」
「任せて下さい」
ジョゼさんの言葉に、俺は笑顔で応じた。




