175 集大成チャレンジ! 衝撃の事態に……!
今日はこの状態で料理していくか。
「今日の夕食はポテトコロッケで行く」
『ポテトコロッケ?』
「じゃがいもにとんかつの衣を付けたような料理だよ」
『美味しそうなの!』
俺のざっくりした説明を聞いたミミが大興奮で大喜びとなる。
そういえばミミはポテトチップスが好きだったっけ。ジャガイモ料理が好きなのかな。
コロッケを選んだのは偶然だが、これは頑張らねば。
ポテトコロッケを選んだ理由は失敗しにくそうだったからだ。
中身はあらかじめ火が通っているし、揚げるのはとんかつで練習済み。
きっとうまくいくはず。
なぜ失敗しにくいメニューを選んだかといえば、その前に中濃ソース作りに挑戦するためだ。
コロッケを酢醤油で食うのはさすがに違うと思うというのもあるが、今回は中濃ソース作りがメイン。
もし、料理もソース作りも失敗したら目も当てられない。精神的ダメージが高すぎる。
そういう意味でもコロッケを選択した。コロッケはうまくいきそうな気配があるんだよね。
これでソースが失敗しても、落ち込まずに済む。
「よし、やってみるか」
というわけで、中濃ソースを作っていく。
まずは水が入った鍋に、ショウガ、干ししいたけ、昆布を入れてしばらく放置。
その間にタマネギ、ニンニク、ニンジン、セロリ、トマト、リンゴ、しいたけを細かくカットしていく。
「……あれ? これって材木にカットするのと変わらないよな」
野菜をひたすらカットしていると、そんなことが頭に浮かんだ。
もしかして? と、タマネギを対象に錬金術を発動してみれば、みじん切りの状態になってしまった。
「……待てよ。ジョゼさんは錬金術で紅茶を作ってたよな……」
思いつくままにみじん切りにしたタマネギに錬金術を発動。
すると飴色に火が通った姿へと変わった。
「この感じだと、錬金術で完成品までもっていけるな……」
材料を並べて、作りたい料理の魔法陣を形成すれば簡単に出来そうだ。
というか、多分楽勝だ。材料さえあれば一瞬で出来るだろう。
しかし、それでは全く技術が身につかない。
包丁の扱い、調理の腕、どちらも素人のままだ。
何より一瞬で出来たら時間が余ってしまう。
「料理は上達したいし、錬金術で練成するのはなるべくやめておこう。面倒な工程だけ使うか」
ここは初志貫徹。
多少大変でも自力で頑張っていこう。
発酵とか、ひと晩寝かせるような工程は錬金術で省略してもいいかな。
と、今気付いたことはひとまず忘れ、ソース作りに戻ることにする。
カットした材料を鍋に投入し、弱火でひたすら煮込んでいく。
「アクは取った方がいいよな」
昼食のサンドイッチを頬張りながら、コツコツとアクを取る。
この状況でモンスターに襲われるのは嫌だったので、隙を見てハーモニカを吹いておく。
ミミが楽しげに踊ってくれたのには癒やされた。
数時間後、ローズマリー、タイム、鷹の爪、ブラックペッパー、セージ、クローブ、ナツメグ、シナモンを投入し、さらに煮る。
「おお、それっぽい匂いがする……」
鍋からよく嗅いだソース独特の香りが漂い、鼻腔をくすぐる。
この匂いを嗅ぐと、コロッケのために作っているのに、焼きそばが食べたくなってくる不思議。
ソースってこうやって作るのか、と妙に感動してしまう。
そんな気分を味わいながら更に数時間経過。
煮汁を裏ごし器を使って別の鍋に移していく。
本当はミキサーがあれば早いんだけど、そんな物は市場で売っていなかった。
むしろ裏ごし器を見つけられただけで幸運と思うべきだ。
最後に裏ごしした汁に砂糖、塩、醤油を足して味を調整しつつ、しばらく煮詰める。
水分を飛ばして適度なとろみがついたら完成だ。
「……で、出来た」
完成した黒っぽい液体を舐めれば、ソースの味がした。
長い戦いだったが何とか失敗せずに中濃ソースを完成させることが出来たのだ。




