16 驚愕、新たな仲間の正体が……!
「で、ミミは何のモンスターなんだ?」
と、本人に聞いてみる。
ぶっちゃけ、鑑定スキルを使えば解決することではある。
でも、意思の疎通が取れる相手に対して無断で鑑定するのは、プライバシーを侵害しているようで、気が引ける。
『モンスターじゃないよ?』
俺の質問を受け、ミミが首を傾げる。
「え、違うのか? なら何なんだ?」
『草木の精霊だよ』
「なるほど、道理で植物っぽい見た目なわけだ」
精霊という返答を受け、一人納得する。ん、精霊?
『マスター、これ食べていい?』
うずうずとした表情のミミが、さっきあげた大福を見せて聞いてくる。
「いいよ。てか、俺はマスターじゃなくて、まるもっちーな?」
『マスターはマスターだよ?』
大福を頬張るミミが疑問顔になる。
どうもお互いの言っていることが伝わっていない感じがするな。
しかし、なぜミミは俺のことをマスターと呼ぶのか。
かっこいい感じがして気持ちいいけど、俺の名前はまるもっちー。
残念な話だが、マスターでもなければ、茄子畑紫郎でもなくなってしまった。
何かヒントになりそうなことでもないかと、再度自分を鑑定してみて、疑問が氷解する。
【名 前】 まるもっちー
【種 族】 餅人
【レベル】 99(MAX)
【膂 力】 101204 (+100000)
【魔 力】 100998 (+100000)
【体 力】 101172 (+100000)
【クラス】 精霊使い
【称 号】 転移失敗者 悪竜殺し
【固有スキル】
鑑定 自動翻訳 特殊アイテムボックス
餅 癒やし効果
【スキル】
使役精霊(草木の精霊)
クラスの項目に精霊使いと表示され、スキルの部分には使役精霊がどうのと読める。
いつの間にか自分でも気が付かない内に精霊使いになっていた。
考えられるのは、同行を許可した時だ。
あの瞬間から、ミミの声が聞こえるようになった。つまり、契約が結ばれた。
そんな決断を迫られているとは知らず、軽く返事をしてしまった。
まあ、なっちゃったものは仕方ないか。
「色々分かった。ミミ、俺の名前は、まるもっちーって言うんだ。分かるか?」
『お名前? 分かった。マスターまるもっちーなんだね』
「そういうことだ」
と、二人頷き合う。
色々なことが判明した頃、ミミも大福を完食していた。
「ミミのことを知りたいから、鑑定してみてもいいかな?」
『いいよ!』
「お、ありがとうな。じゃあ、早速っと……」
本人に了承を得たので、鑑定スキルでステータスを見てみることにする。
やっぱ、無断で覗き見はよくないしね。
精霊と言われると気になるし、どんな能力を持っているのか把握しておきたい。
さて、どんなステータスかな――。
【名 前】 ミミ
【種 族】 草木の精霊
【レベル】 1
【膂 力】 5
【魔 力】 15
【体 力】 10
【クラス】 精霊
【称 号】 なし
【固有スキル】
草木の精霊術
【スキル】
なし
「確かに精霊だった」
『本当だよ! 精霊なんだから』
俺の呟きを聞いたミミがぷうっと頬を膨らます。
「ごめんごめん。これからよろしくな」
『は〜い!』
よく分からない内に精霊の相棒ができてしまった。
改めて挨拶すると、元気の良い返事と笑顔が返って来る。うん、癒やされるな……。
「よし、それじゃあ改めて街に向かうか」
『街に行くの?』
「そうだよ」
『マスター、街って何?』
「そこからか。街って言うのはね……」
俺はミミに説明しながら、歩き出す。
が、ここで問題が発生する。
二人の歩幅が違いすぎるのだ。
俺が普通に歩いているだけで、ミミは走らなければならない。
これはさすがにかわいそうだ。
「おいで」
俺はミミを両手で抱えると頭の上に乗せた。
普通の人間なら、肩車したり背負ったりすればいいんだけど、俺は着ぐるみ体型。
いわゆる、ゆるキャラのデフォルメバランスのため、頭が異常にデカい。
そのせいで、肩車やおんぶでは不安定になってしまう。
そういうわけで頭頂部にミミを乗せた。
デカい頭部を持つ者だけに許された技である。
『わぁ〜、高い高い!』
普段と視線が違うせいか、ミミは大はしゃぎとなる。
「あんまり動いて落ちるなよ」
『大丈夫だよ』
俺はミミに気をつけるように言うと、再び街を目指して歩き始めた。
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