150 今後の予定が決定! とんでもないスケジュールに!?
街の一大イベントというくらいだし、優勝すると何かしら凄い賞品でも貰えるのかな。
「優勝した場合、街長が優勝車の設計図を買い上げ、大手工房で大量生産される。そして売り上げた利益から報酬が支払われる仕組みだ」
「へぇ、そんな感じなんですね。それは皆優勝を狙うだろうな」
優勝を狙って速い魔走車が作られ、それが大量生産され、市場の魔走車の性能が上がっていく。
そういう仕組みになっているんだろう。
「君は今日レースのことを知ったみたいだし、当然見たことはないんだよな?」
「はい。どんな感じなんですか?」
「うむ、これからしばらくはレースの準備に掛かりきりになる。少し詳しく説明しておこうか」
「お願いします」
「そもそも、魔走車レースは錬金術師の技術と街の発展を目的として、数代前の街長が始めたイベントだ。そのため、この街に工房を持つ錬金術師しかレースの出場資格がない」
「そうだったんですね。誰でも参加できる訳じゃないのか」
そうなると、案外参加者は少ないのかもしれないな。
「参加者が増えすぎると、何度も予選を行うことになってしまうからね。毎年行われるこのイベントは種目が二つあって、街にあるサーキット場を使った短距離レースと数日かけて旧街道コースを往復する長距離レースの二つだ。優勝したらどうなるかは説明したし、おおよそそんな感じだな」
「なるほど。ジョゼさんは二種目とも出場予定なんですか?」
「いや、短距離のみだ。長距離は準備にかなり資金を必要とするので、出場するのは大きな工房が大半だ。ちなみにヴィヴィは短距離には出場せず、長距離に出場予定だな」
ジョゼさんが短距離、ヴィヴィアンさんが長距離に出場するのか。
「ということは直接対決する事はないんですね」
そこはちょっと意外に思った。
二人ともお互いを意識しているし、こういう時は真っ向勝負でもするものかと思っていた。
「その通りだ。白黒つけるいい機会ではあるのだが、お互い私情を挟んでいる場合ではないからな」
「てっきり対決するのかと思っていましたよ」
対決より、優勝。
お互い工房を持つ身としては、私情より仕事というわけなのか。
「そういう日もいつか来るかもしれないが、今回ではないな。さて、大体の説明は済んだと思うが、何か知りたいことはあるかい?」
「レースが始まるまでは、ジョゼさんの仕事を手伝えばいい感じですか?」
錬金術をフォローするのには不安があるが、力仕事なら自信がある。
まずは自分のできることから、ジョゼさんをサポートしていきたい。
が、俺の言葉を聞いたジョゼさんが苦い表情となる。
「それは駄目なんだ。すでにエントリーは締め切られていて、事前に参加申し込みした者以外が魔走車の製作や整備に関与する事は許されない。ルール違反なんだ」
む、エントリーしていない者がレースに出る魔走車に関わることはできないのか。
残念だがルールなら仕方ないか。
「そうなんですね。なら家事をサポートする形ですね」
魔走車に関われないなら、それ以外。
ジョゼさんが魔走車に関われる時間を増やせるように動けばいいだけだ。
これは初めに考えていたとおり、家事全般を手伝う感じになりそうだな。
「そうなるな。ただ、見ている分には問題ない。私の作業中は、君の授業中という感じになるかな」
「ジョゼさん……、それはやめておきましょう。ヴィヴィアンさんの話だと、もう魔走車は完成していないと駄目な時期なんですよね? 俺への授業はレースが終了してからで構いませんので、一刻も早く魔走車を完成させてください」
気持ちは嬉しいけど、悠長に構えている場合ではない。
ここは作業に集中してもらった方がいい。
「う……、君は痛いところをついてくるな」
「俺に教えていて間に合いそうですか?」
「ギリギリだな……」
「止めましょう。俺も今すぐ錬金術を教わりたいというわけではないので大丈夫ですよ」
ジョゼさんの返答を聞き、こちらは急がなくていいと発言する。
俺の授業を追加したせいで、レースに出られなかったら元も子もないしね。
「そうだな。そもそも君は錬金術をマスターしているし、今、この状況下で無理に授業をする必要はないか……。ならばお言葉に甘えて、サポートをお願いしよう」
「お任せ下さい!」
「こちらこそよろしく頼む」
俺が強く頷くと、ジョゼさんが手を差し出してきたので、がっちりと握手を交わす。
『ミミも頑張るよ!』
俺とジョゼさんを見ていたミミが、ぴょんぴょん跳んでアピール。
「ああ、ミミ君もよろしく頼む」
『任せて!』
と、ジョゼさんとミミもしっかりと握手。
この雰囲気、チーム結成って感じがしていいな。




