149 作業場見学! 魔走車に驚愕……!
「まるもっちー君、とにかくその錬金術は人前で使わないように。大騒ぎになるからな」
「そうよねぇ。有名人の仲間入りをしたいなら止めないけど?」
「人に教えられるようなものでもないし、隠しておきます」
二人の忠告を受け、さっき披露した錬金術はなるべく人前で使わないことにする。
説明してくれと頼まれても、複雑すぎてうまく言葉に出来ない。
言語化できないものを教えてくれと言われても無理な相談だ。
創造補助のスキルを習得してくれとしか言いようがない。
「それが賢明だな。さて、助手が優秀なのが分かった所で、一旦講義はお開きだ」
「それじゃあ私は帰るわ。そろそろ仕事に戻らないとね。後は三人で仲良くやりなさい」
「分かった。ヴィヴィアン、色々助かったよ」
一段落つき、ヴィヴィアンさんが帰ることになる。
「ヴィヴィアンさん、案内してくださってありがとうございました」
「いいのよ。飴も貰ったしね。ミミちゃんもばいばい」
『またね!』
ヴィヴィアンさんはミミと手を振り合うと、隣にある自身の工房へと帰って行った。
ヴィヴィアンさんを見送った後、そういえば、と俺はジョゼさんに呼びかけた。
「ジョゼさん」
ちょっと気になることがあったんだよな。
「ん、なんだね」
「錬金術師の助手というのは、どこで生活するのが普通なんですか? 宿を取って通うのでしょうか?」
そう、今日寝泊りする場所がはっきりしていなかったのだ。
もし通いなら、急いで宿を探さないといけない。
「ん〜、基本住み込みだな。私もその方が助かる」
顎に手を当てたジョゼさんが、考え込むような表情でそう答えた。
ということは、宿は探さなくてよさそうだ。
「それじゃあ、今日からお世話になります。それと呼び方はどうしましょう? 師匠と先生、どっちが適切ですか?」
意外に博士呼びだったりするのだろうか。
ドクターとかプロフェッサーなんてのも、かっこいいな。
「ど、どちらもやめてくれ! そんな柄じゃないんだ。いままで通りジョゼで頼むよ。そんな呼ばれ方をされたら、いちいち緊張してしまいそうだ……」
呼び方は今まで通りでいいと赤面されなら断れてしまう。
むう、残念だ。
「教わる身としては自然な呼び方だと思うんですけどね。でも、緊張するというのも分かる気がします」
ん〜、先生とか師匠って呼びたかったな。
「からかわないでくれよ。それじゃあ、工房を案内しよう。付いてきたまえ」
「はい。行こっか、ミミ」
『探検だね!』
ミミと手をつないだ俺はジョゼさんの後に続く。
「と言っても、大した広さじゃない。見せたいのは仕事場だな」
先を進むジョゼさんは、道を切り開くために積み上げられた物を薙ぎ倒しながら進んで行く。
後ろから見ているとジャングルで枝を払って進むガイドにそっくりである。
「そ、そんなに払い除けても大丈夫なんですか?」
『道がないね!』
「私ならギリギリ通れるが、君はそうもいくまい。片付けは後で考えるとしよう。よし、着いたぞ。ここが作業スペースだ」
ジョゼさんが手で示した先は、しっかりと空間が確保されており、きっちりと道具が整理されていた。
見た目は自動車整備工場のような感じだ。
部屋の中心には今手掛けているであろう魔走車が見える。
「おお! かっこいい」
『あれはなあに?』
ミミが魔走車を指差し、首を傾げる。
「ミミ君は目ざといな。あれが今製作中の魔走車だ。今まで見たことのない形だから違和感を覚えるかもしれんが、こいつで優勝を狙うつもりだ」
今までにも見た事がない形というが、俺からするとどう見てもバイクだ。
今まで見てきた魔走車はヨットに車輪が付いたような形をしていた。
以前、ヴィヴィアンさんが設計した大型のものも客船に車輪がついているような感じだった。
そういう前提からすると、確かに本来の魔走車から随分とかけ離れたフォルムではある。
「速そうですね。優勝すると賞金が出たりするんですか?」
俺は物珍しそうに魔走車を見ながら、尋ねた。
街の一大イベントというくらいだし、優勝すると何かしら凄い賞品でも貰えるのかな。




