143 とある重要人物と再会。それは……!?
到着してみるとそこは大小様々な工場が建ち並ぶ場所だった。
工場……、いや、これが工房なのか。
大きいものだと球場クラス。小さいと一軒家と変わらないサイズの工房が密集している。
さて、どこから探したものか。
誰かに聞けば分かるかな。
「あら、まるもっちー君じゃない」
どうしたものかと考えていると、背後から声をかけられる。
振り向けば、手を振ってこちらへ近づいてくるヴィヴィアンさんの姿があった。
「あ、ヴィヴィアンさん、お久しぶりです」
『こんにちは〜!』
「ミミちゃんも久しぶりね。元気にしてたかしら」
ヴィヴィアンさんがかがみ込んでミミの頭を撫でる。
『元気だよ! そうだ、これをどうぞ!』
ミミはそう言うと紙袋から飴をひとつ取って、差し出した。
「あら、私にくれるの?」
ヴィヴィアンさんの問いに、ミミが笑顔でコクコクと頷く。
「うふふ、ありがとう。優しいのね。飴を食べるなんていつぶりかしら。懐かしいわ」
『マスターもどうぞ。緑色のをあげるね!』
「ありがとう。ミミの分が減っちゃうけどいいの?」
『いいよ! ミミは青いのを食べるの』
皆で飴を頬張り、まったり。
そうだ、ヴィヴィアンさんに聞けば、ジョゼさんがどこにいるか分かるかも。
二人はライバル同士だし、お互いの家くらいなら知っていそうだ。
「ヴィヴィアンさん、ジョゼさんの工房の場所って分かりますか? 訪ねようと思ったら場所を知らなくて」
「なら案内してあげるわ。付いて来なさいな」
「ありがとうございます」
ヴィヴィアンさんの厚意により、案内してもらえることになった。
これは助かる。
ミミと手をつなぎ、ヴィヴィアンさんの後に続く。
しかし数歩進んだ所で、ミミが立ち止まった。
『ん』
小さな声とともにヴィヴィアンさんに繋いでいない方の手を突き出すミミ。
「はい、捕まえた。じゃあ、行きましょうか」
意図を察したヴィヴィアンさんがミミと手を繋ぐ。
三人で手を繋ぎ、横一列となって工房へ案内してもらう。
通り過ぎる工房はどこも何かを作っているらしく、大きな作業音が聞こえてくる。
換気のためか、中が見えるようになっているところもあって、何を作っているのか興味をそそられる。
見学気分で色々な工房を見ながら歩いていると、ヴィヴィアンさんが声をかけてきた。
「この先よ。もう見えているわ」
ヴィヴィアンさんが視線で促した先には宮殿のような建物があった。
もしかしてあれがジョゼさんの工房? 凄く立派な建物だな。
呆然と建物を見ていると、どこからともなく叫び声が聞こえてきた。
「あぁああ! なぜヴィヴィが二人と一緒に居るんだ!」
大声がした方を向けば、ピンクのクマのぬいぐるみが慌てた様子でこちらへ駆けて来る。
あれはジョゼさんが操るぬいぐるみ。久しぶりに見ると懐かしさを覚えるな。
「散歩していたら偶然会って、ここまで一緒に来たのよ。ミミちゃんには飴を貰っちゃったわ」
と、ヴィヴィアンさんがジョゼさんに挑発的な表情で笑いかけた。
「散歩? 偶然? まるもっちー君たちと別れてから、急に散歩の日課を増やしたのを知っているぞ! 偶然を装って会えるように徘徊していただけではないか! 二人がかわいいから再会したかったんだろ!」
「ふ〜ん、私も知っているわよ。貴方が毎日落ち着きなく工房の前をウロウロしたり、体操をしたりして周囲の様子を窺っていたのを! そんなことをやり始めたのは、まるもっちー君と別れた後よね? 早く助手に来てくれないかと、毎日ソワソワしてたんでしょ!」
「何をー!」
「何かしらぁあ!」
と、にらみ合いを始める一人とクマのぬいぐるみ。
しかし、今の話を聞くとジョゼさんはぬいぐるみで体操をしていたのだろうか。
それは不自然極まりないぞ。
ぬいぐるみの体操シーンを想像している間に、二人の口論は激化していた。
これは止めた方が良さそうだと、間に入って話しかける。
「ま、まあまあ、二人とも落ち着いて下さい。それに、ジョゼさん。お久しぶりです。お待たせしてしまってすみません。助手にしていただきたく伺いました」
「あ、うん。久しぶりだな。待っていたよ。そ、そのなんだ……、立ち話もなんだし、工房へ案内しよう。来たまえ」
改めて挨拶すると、ピンクのクマのぬいぐるみがモジモジしながら、手招きする。




