129 とんでもない闖入者現る……!
『ほんと、何やってるの?』
『やったな! 普通はやれないけどな!』
「あ、女神様」
声をする方を見上げれば、女神様が腕組みしてこちらを見下ろしていた。
『こんにちは〜』
手を振って挨拶するミミ。
『あら、こんにちは。貴方、いつのまに精霊を使役したのよ』
『なかなか可愛い奴じゃねえか!』
「女神様に会ったあとですね」
ねー、とミミと頷き合う。
『ふうん、そんな簡単に会えるものじゃないんだけどね』
『レアだぞ。良かったな!』
「そうなんですね。ミミと出会えて良かったよ」
『ミミもマスターと会えて嬉しいよ!』
俺たちはにっこりハイタッチ。息ぴったりである。
ここで女神様と会えたのも何かの縁、ついでとばかりに、ヘルセンチビートルについて尋ねておく。
「ところで、あのデッカい虫ってそんなに凄いものだったんですか?」
『まあねぇ、世界を滅ぼすとか言われちゃうくらいには凄いやつよぉ』
『なんせヘルだからな!』
「ぇぇ……。まさか他にもいたりしないですよね?」
女神様たちが軽く答えた内容にドン引きしながら、別の個体がいないか聞いてみる。
一匹だけしかいないなら助かるんだけど……。
『大丈夫、あれ一匹よ』
『あんなのが一杯いたら、人類は全滅してるだろ!』
「まあ、そうなんですけど……。割と短い間隔で強烈なのに二度も遭遇したので、ちょっと疑り深くなってるのかもしれないです」
ブラックドラゴンにヘルセンチビートル。
この世界って相当物騒なんじゃないだろうか……。
『そ、そおね……。とっても珍しい偶然もあったものね!』
『お……、お前が二つとも倒したから、問題ないな!』
「良かった……。これで一安心だな」
ほっとする。あんなのにポンポン出てこられたら、たまったもんじゃない。
女神様たちのリアクションが微妙に気になるけど……。
『と、いうわけで、魔澱濁を倒したお礼に三つの願いを叶えてあげるわ。と、言いたいところだけど、貴方はもう叶えたから無理よ』
『また誰かが魔澱濁を倒したと思ったら、同じ奴とは私たちもびっくりだぜ! そもそもお前は願い事を二つ残したまんまだろ! さっさと何か言え!』
「いえ、特には……」
急に出て来て、急に詰め寄られるも、咄嗟に思い浮かばない。
シプレの街に着いてからはバタバタしていたから、すっかり忘れていた。
今度時間を作ってじっくり考えるか。
『ちょっと、折角出てきたのに、そんな対応はないんじゃないの? 何か言いなさいよぉ』
『そうだぞ、女神様美しいって言っとけ』
「す、すいません、とてもお美しいです。でもなぁ……。あ、そうだ! これをルイーズさんに返しておいてもらえますか?」
そう言って取り出したのは、金貨五十枚。
以前、城を出る際に貰ったお金と同額である。
咄嗟に思いついた願い事とは思えないほどナイスなものだと、自画自賛。
今はお金に余裕があるし、しっかり返しておきたい。
むしろ当時のことを考えると、倍ぐらいにして返した方がよかったかも。
『はい、返したぁ! 女神にパシリみたいなことさせないでよね』
『それでも一回は一回だ。次の願いはなんだ? ちゃっちゃと言え!』
「ぇぇ〜……、この間はいつでもいいって言ってたのに」
俺の願いは聞き届けられ、ルイーズさんに頂いた金額分を返すことは叶った。
が、女神様たちの機嫌が急変。簡単な願い事だったことに立腹し、次の願いを言えという。
これは困ったぞ……。




