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123 事態急転! とんでもないことに……!


「どうやらブラックドラゴンは表面が石化した状態でずっとここにいたみたいね。それが解けて、山から出た」


「きっと、街の人が知らないくらい大昔から閉じ込められていたってことですね」


 痕跡から推理できることはそれくらいだ。


 何かと戦って石化されたのか、冬眠のような感覚で自ら石化したのかまでは分からない。


「でもさ、見た限りだと石化したままのブラックドラゴンはもういないみたいだね」


 女神様の言葉があるので、ブラックドラゴンはもういないはず。


 そこは心配しなくても大丈夫だろう。


 ニコルさんの言葉を聞いたオレリアさんも頷く。


「そうね。ひと回りしてみたけど、石像のようなものはなかったわ。後はこの空洞が地震に耐えられるかどうかね」


「相当古くからあるみたいですし、ちょっとやそっとでは崩れなさそうですよね」


 もともと空洞だったのだから、地震があっても大丈夫そうではある。


「うん。これならギルドに問題なしって伝えても良さそうね」


 と、オレリアさんが結論を出す。


 元々、この辺りに人は生活していないし、道も無い。


 大丈夫ではないだろうか。


『ねえねえ、マスター』


「ん、どうしたの」


 ミミに服の裾を引っ張られ、返事を返す。


『あれは違うの?』


「いや、あれはこの山の内側が削れた跡だと思うよ。……ん、あれ?」


 ミミが指差して尋ねたのは、空洞の壁面だった。


 壁一面に規則的に削れた模様が見られる。


 多分この空間を作り出すために掘った痕跡だろうと思っていたが、改めて見てみると違和感を覚える。


「どうかしたの?」


「何かあった?」


 俺たちが話し込んでいるのを見て、不思議に思ったオレリアさんとニコルさんが疑問顔で寄って来る。


「今、ミミに言われて気付いたんですけど、あれはどうなんでしょう」


 と、壁面を指差す。


「……言われてみれば不自然な形をしているわね」


「でも、こんな形のドラゴンなんていないよ? 絞った雑巾みたいにねじれてるの?」


 ニコルさんが言う通り、規則的な痕跡は螺旋状に天辺まで続いている。


「自然の産物のようにも見えないし、掘られたものでしょうか?」


 不思議な模様を前に、全員で腕組みして考え込む。


 答えが出ないまま数秒が経過した時、それは起きた。


 頭上からパラパラと小石が降って来たのだ。


 上方に気を取られた次の瞬間、地面が大きく揺れる。


 地震だ。


「「あっ」」


 驚いて踏ん張る二人。しかしその時、頭上から大岩が降って来た。


「危ない!」


 俺は二人を庇うようにして覆いかぶさりつつ、降って来た岩を払い除けた。


 ズンと、重さを感じさせる音を出し、岩が側に落ちる。


 しかし、落石はひとつではなかった。次々と岩が落ちてきたのだ。


 俺は危険なものを払い除けつつ、皆が地震で転倒しないようにしっかりと抱きとめた。


 上方を見て、こちらへ落ちてくる岩を見定め、払い除け続ける。


「わわっ、揺れがおさまらない!」


「さすがに危険だわ。一旦外に出ましょう」


 ニコルさんとオレリアさんは落石と地震に気を取られ、脱出しようと声を張る。


 しかし、俺の視線は上方に釘付けとなってしまっていた。


「二人とも……、上を……」


 俺は、二人に上を見るよう促す。


「「……ぇ」」


 俺に言われて顔を上げた二人が絶句する。


 岩が降って来たであろう原因を目撃し、言葉を失っていた。



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