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12 女神様への願い事。……決まる!

 

 あれだけ自信満々に言ったくせに、できないと即答されてしまう。


 何でも叶えてくれるんじゃなかったのかよ、と突っ込みたいところではあるが、機嫌を損ねて帰られてしまっても困る。


『いやぁ……、できなくはないと思うよ? 頑張ればなんとかなりそうな気はする』


 赤髪の女神様が腕組みしながら、難しい顔をする。


「ものすごく曖昧ですね!」


『お前は高度なダミーが仕掛けられた爆弾を処理する時に、確実に無力化できると胸を張って言えるのか?』


 黄髪の女神様がぐっと顔を近づけて、問いかけてくる。


「そのレベルなの!? 俺の体を元に戻すのってそんなに高度な技術を要するの!?」


 まさか爆弾処理が例えに出てくるとは想像もしなかった。


『その体は色々な偶然が重なって、たまたまそうなったの。例えるなら、複雑に絡まって結び目がいっぱいある紐みたいな感じよ』


 赤髪の女神様が分かり易く例えてくれる。


「ほどくのが難しいと……」


『当然、ほどいている最中に紐が千切れたら、それで一巻の終わりだ。切って繋げるなんてできないからな』


「まじか……」


 説明を受け、絶句する。


 どうやら、元の体に戻るのは無理っぽい。


 女神様クラスがそう言うってことは、最早どうしようもないと思ったほうがいいだろう。


『だから、無難に別のお願いにしときなさい』


『そうそう、悪いことは言わない。死にたくなければやめておけ』


「そうですね、分かりました」


 納得した俺は別の願い事を考える。


 何がいいかなと考え、すぐ別の願いが見つかった。


「それじゃあ、俺と一緒にこの世界へ召喚された高校生のカップル、鷹村陽一君と富士原明美さんを元の世界へ帰してあげてください」


『え、自分のことじゃないの?』


「あ、できれば……、俺がブラックドラゴンを全て倒したこと、それで女神様から願いを叶えてもらえるようになったこと、俺は願いを使って元の姿に戻って一足先に元の世界に帰って行ったことも、二人と王都の関係者に伝えてもらえないでしょうか」


 あの二人に俺が元の世界に戻っていないことを知られると、余計な気を遣わせてしまう。


 ここは全て丸く収まって、後は二人が帰るだけということにしておいた方が帰り易いと思う。


『ふぅん。それで本当にいいのか?』


「あ、ついでにこの世界にいる俺はブラックドラゴンを倒したまるもっちーとは同姓同名の別人、という風にできないでしょうか?」


 そうしておかないと、何かの拍子に俺の存在がルイーズさんにバレたら気に病ませてしまう。


 この世界に事故で召喚され、まるもっちーとなった茄子畑紫郎はブラックドラゴンを倒した後、人の姿に戻り、元の世界へ無事帰った。


 それでいいじゃん。



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