118 呼び出された内容がとんでもないものだった……!
そんな騒動があった翌日、ギルドマスターに呼び出された。
「よく来たな。まあ、かけてくれ」
「はい、失礼します」
促され、ソファに腰掛ける。
昨日で依頼関連の件は片付いたはずだし、一体何の用だろう。
「今回はお前に頼み事があって呼んだんだ」
「何でしょう? 資材の運搬とかですか?」
ギルドマスターからの頼み事。重い物でも運ぶのだろうか?
「いや、全く違う。というか、それはもういい、十分だ。今回はある場所へ行って様子を見て来て欲しいんだ」
「それだけだとよく分からないので、詳細を伺ってもいいですか」
やる事は分かったが、細かい部分が分からない。
様子を見るってなんだろう。
「この街がブラックドラゴンに襲われたのは知ってるよな?」
「はい」
こくりと頷く。それを知っていたからこそ、この街に来たのだ。
「そのブラックドラゴンが初めて目撃されたのが、この街の東にある山なんだ」
「それ以前に目撃情報はないんですか?」
もっと遠くから観測されていたのかと思ったら、意外と近場だった。
「ああ。だから、その山で隠れ住んでいたと踏んでいる。だが、ブラックドラゴンが現れてから今まで、防衛と復興に全てを費やしていたから、その山にはまだ誰も行ってないんだ」
「なるほど。そこがどうなっているか、見てこればいいんですね?」
ブラックドラゴンがその山で今まで誰にも見つからずに生息していた、ということなのだろうか。
でも、あんな巨大なモンスターが大量にいて、今まで何の異変もなく、誰も気付かなかったというのも変な話だ。
その辺りをはっきりさせ、巣的なものを見つければいいのか。
「そういうことだ。ブラックドラゴンが現れてから随分と日にちが経っている。だから、その山に別の個体がいる可能性は低い。いや、周囲に環境の変化がないことから見ても、いないと見て間違いないだろう。そもそも、俺が生まれてから今まで、一度も目撃したことがないのに、急にあんなに大量に現れた方が変なんだよ……」
「あれは大食いな上に気性が荒いですからね。居たら分かりますよね……」
もし、一匹でもブラックドラゴンがいるなら腹を減らして暴れまわるはず。
大人しく木の実を食って細々生活している姿など想像できない。
それ以前に、女神様が全て倒したと言っていたし、いないのは絶対なんだよね。
まあ、ここで話しても混乱を招くだけで、信じてもらえないだろうけど。
「だが、状況は確認しておきたい。つまりは一応の仕事であり、念のための仕事だ。現状、冒険者ギルドはそういったところまで、まだ手が回らん。といっても、いつまでも先延ばしにしていい案件でもない。だから、お前に頼みたい。行ってくれるか?」
「もちろんです。街の中で俺に出来る仕事が無くなってきていたので丁度いいです」
復興のお手伝いのランクは上昇し、専門技術を要するものが増えてきた。
単純な力仕事が減ってきたので、俺はお役御免状態。
時期的には丁度良かった。
「そうか、助かる。最近地震が頻発しているせいで、放置しておくわけにもいかなくなったんだ。あれだけの数の巨大なモンスターが居たはずなのに、山の表面にはその痕跡がない。つまり、内部が空洞になっている可能性があるんだ」
「そういえば……確かに。荒れている様子も無かったし、巣のようなものも見当たらなかったな」
秘密裏に防壁周辺を周回してモンスターを倒して回った時に周囲の景色は見ている。
当然、東の方も見ていた。
だが、ブラッグドラゴンが巣食っていましたといわんばかりの山なんて見た覚えがない。
付近に巨大な洞窟でもあるのだろうか。




