113 依頼完了手続きをしたら、とんでもない事態に……!
その後、俺は数時間かけて、辺りの廃材をミミと一緒に丸めて回収した。
改修した場所は入念に魔法をかけ、ピカピカにするのも忘れない。
こうしておけば、後の工事もやりやすいだろう。
回収した廃材は集積地点で並べた。
巨大な団子が大量にある姿は中々に壮観である。
この数を見ると、やり遂げたという実感が湧く。
大成功とばかりにミミとハイタッチ。いやあ、気持ちがいいなあ。
俺が廃材の塊を満足げに見ていると、後ろから声が聞こえてきた。
「おーい、まるもっちー。いつまでたっても戻って来ないから様子を見にきたんだが、どうした? まさかケガとかしてねえだろうな」
「あ、トマさん。今一通り終わったんで報告に行こうとしていたところです」
ひと仕事終えて手の甲で額を拭っていた俺は、丁度いいところに訪れたトマさんに振り向いた。
「おーう、ご苦労……さ…………ん? んんんッ!?」
「大丈夫ですか?」
「なんだそのキモい集合体は……」
「ここまでの道にあった廃材も集められそうなものは全て回収しておきました。こうやって並べると結構な数になりましたね」
「……ああ、そうみだいたな。とりあえず、依頼完了の書類を書き直すからちょっと待て」
「わ……、分かりました」
このパターンは……。
「よし、これでいいだろう。お前が色々やってくれたことを書き加えて、追加報酬を出すように提案しておいた」
「ありがとうございます」
やっぱりか、と思いつつお礼を言う。
「おう、お疲れさん。お前のお陰で仕事が早く済んだ。礼を言うぜ」
「いえ、早く工事が進むといいですね。お疲れ様でした」
俺は現場に戻って皆に挨拶すると、仕事場を後にした。
「今日は時間に余裕があるし、ギルドで手続きを終わらせておくか」
期限には余裕があるが、当日に終わらせられるならやってしまった方が気が楽だ。
というわけで、ギルドへ向かう。
「結構込んできてるな」
到着したギルドは俺以外にも依頼を終えた冒険者が集い出しており、なかなかの混雑具合だ。
人が多いためか整理券ならぬ、整理木札が配られていた。
早速、番号が書かれた木札をもらい、受付に呼ばれるのを待つ。
それほど込んでいないときは列になって待ったが、人が多いおきは整理券が出るのか。
などと感心しながら、自分の番が来るのを待っていた。
「次の方、どうぞ」
自分の番が訪れ、受付へと向かう。
カウンターにいるリリアーヌさんに、「お疲れ様です」と挨拶しながら、ギルドカードと書類を提出した。
「依頼完了書とギルドカードです。お願いします」
「あら、まるもっちーさん、お疲れ様です。それじゃあ、手続きしますので、少々お待ちを……」
しばらくするとリリアーヌさんが顔を上げ、渋い表情で話しかけてきた。
「まるもっちーさん、申し訳ありませんが、この書類を持ってギルドマスターの部屋へ行ってください。場所は分かりますよね?」
「あ、はい」
「依頼完了と報酬の支払いはその後ということで。では、次の方どうぞ」
「わ、わかりました。失礼します」
混雑しているため、長話をするのもはばかられる。
俺は、事情を聞くのを諦め、ギルドマスターの部屋へ向かった。
ノックし、了承を得たので入室する。
そこには書類の山と格闘中のギルドマスターの姿があった。
「失礼します。依頼完了の手続きをしていたら、こちらへ向かうように言われたんですけど」
「座らなくていい。お前を見て、俺は大体分かった。とりあえず、書類をよこせ」
バリバリと事務仕事をこなすギルドマスターが視線を下に落としたままこちらへ手を伸ばす。
「はい、これです」
俺が書類を提出すると、ギルドマスターは素早く目を通し、顔を上げた。
「で、まるもっちー」
「はい、なんでしょう」
「今回受けた依頼、今日で終わりにするのか? それとも、しばらく受け続けるのか、どっちだ?」
「そうですね……。街全体がある程度スッキリするまでやり続けようかと考えていました」
街は広い。今回、廃材を回収、運搬したのは一区画に過ぎない。
実際にやってみると結構手応えを感じたし、街全域が片付くまでやってもいいかなと思っていた。
「そうかそうか。まるもっちー、次から回収した廃材は街の外まで運べ。そして、お前の言う、街全体がスッキリしたという状態になったらまた来い! それまで依頼完了手続きと報酬はお預けだ。明日以降も同じ依頼をするなら、受付を通さずそのまま現場へ向かっていいように手配しておく! 後、これを持っていけ、解体作業が行われている場所と廃材を置く場所を記した計画書だ。以上、解散!」
有無を言わさぬ勢いでまくし立てられ、書類を受け取り、部屋の外へ放り出された。
あっという間の出来事であった。
「……まあ、いいか」
許可を得たし、受付を通さなくても依頼を続行できるのはありがたい。
これで明日以降、スムーズに事が運ぶ。
ひとり納得した俺は宿へと帰った。




