111 依頼中断! とんでもない事態に……!
かなり広範囲だし、どうしたものか。
「なるべく通路が塞がっているところを重点的にやってくれ。荷物が運べなかったり、人が通れなかったりしたら作業が滞るからな」
「それじゃあ、早速やっていきます」
「おう、頼んだぞ。道具はあっちに立てかけてあるやつを自由に使ってくれ。それと、これは集積地点が書いてある地図だ。こいつを頼りに運んでくれ。時間が来たら確認に行く。俺は解体作業をしているから、何かあったら呼んでくれ」
「はい、分かりました。……ッ!?」
トマさんから説明を受け、作業に取り掛かろうとした次の瞬間、大きな揺れが発生する。
俺は咄嗟に身構え、倒れまいとバランスを取った。
「やべえ、地震だ! おい、お前ら早くそこから離れろ!」
トマさんが解体作業中の冒険者へ向け、大声で叫ぶ。
作業中の建物は初めからかなり損壊していた。さらにそれを冒険者が壊していたのだ。
これだけの揺れが起きると崩れる危険がある。
トマさんの声を聞き、危険を察知した冒険者が続々と避難を始める。
しかし、揺れのせいでスムーズにいかない。
このままではまずいのでは……。
そんな予感は的中し、建物が崩れ始めた。
「……危ない!」
俺は叫ぶと同時に現場へ向けて走り出す。
視線の先では、逃げ遅れた冒険者目がけて壁がはがれて倒れていく。
「うお……っ」
「くそ……、なんでこんな時に……」
冒険者達は揺れのせいで身動きが取れず、立ち尽くしていた。
そこへ広範囲を覆うようにして壁が倒れかかる。
「おりゃっ!」
俺は滑り込むようにして壁と冒険者の間に入り込む。
そして倒れる壁を受け止め、「ミミ!」とアイコンタクトを送る。
こちらに頷き返したミミが壁と地面の隙間に木を生やして支えを作った。
俺は壁の傾きが収まった瞬間に二人の冒険者を両脇に抱え、その場から脱出する。
駆け出した俺の背後では、廃墟が巨音を立てて崩壊していくところだった。
間一髪である。
きっと、解体作業をしていたから、一段と脆くなっていたのだろう。
安全な場所まで移動し、抱えていた冒険者を下ろす。
「大丈夫ですか?」
『危なかったね?』
「た、助かったよ」
「お前ら、すげえな……」
こちらの問いかけに、冒険者たちは呆然とした表情で答える。
二人の視線の先には完全に倒壊した廃墟群があった。
今の地震で全ての建物が崩れてしまったのだ。
冒険者たちは、危うく生き埋めになるところだったことを遅まきに悟ったのか、放心状態となっていた。
「おう、まるもっちー。助かったぜ! お前、でっけえ割りに速いんだな」
「スピードには自信あるんで」
合流してきたトマさんに笑顔で返す。
「それにお前の従魔もすげえな……。あんな枝を出して、倒壊を防ぐなんて」
『頑張ったよ!』
鼻息荒く胸を張るミミ。
今回はミミのお陰でとても助かった。
俺は「ありがとうね」とお礼を言いながら、頭をなでた。




