11 願い事を聞かれるも、とんでもないことに……!
『私は女神セレーナ。よろしくねぇ』
赤い髪でツインテールの美女がビシッと決めポーズを取る。
『俺はソルリス。女神だ』
黄色い髪でポニーテールの美女がVサインを作って、ニカッと笑う。
『『私たちがこの世界の女神だ!』』
掛け声と共に、背後でカラフルな煙が派手に炸裂。
何か違う、と思ったのは黙っておいた方が良さそうだ。
『あなた、今失礼なことを考えたでしょ〜』
『おいおい、いけないことを考える奴には呪いをかけちまうぜ?』
「止めて下さい! すいませんでした!」
出会い頭に呪いをかけると言う自称女神に俺は平謝り。
ブラックドラゴンに殺されそうになったと思ったら、次は女神に呪いをかけられるとか笑えない。
しかし、この人達は本当に神様なのだろうか。それに、何しに来たのだろう。
「あの、俺に何か用ですか?」
たまたま通りかかったというわけでもなさそうだし、気になる。
『君、一人であれだけのブラックドラゴンを倒しちゃうなんて、凄いねぇ』
「いや……倒したっていうより、勝手に死んだと言った方が正しいかと」
慌てて餅を食ったブラックドラゴンが、勝手に喉に詰まらせただけだ。
倒したという言葉はふさわしくない気がする。
『ううん、そんなことないわ。あれは貴方が倒したの。大したものよ?』
『そうだぞ。分散せずに固まったまま行動するから、こりゃあ大変なことになるなと思ってたんだぜ?』
「全部? もう王都に向かう個体はいないんですか?」
『そうよ。それどころか、この世界にいる全てよ』
『これでブラックドラゴンは全滅だ。中々やるな!』
「偶然が重なっただけですけどね」
こちらとしては必死に抵抗しただけだ。
倒そうと考えての行動ではないし、倒せるとも思っていなかった。
『というわけで、魔澱濁を倒してもらったお礼に、願い事を三つ叶えてあげるわ』
『それだけ助かったってことだ。三つだけだから、ちゃんと考えろよ?』
「おお!? 本当に何でもいいんですか?」
女神を自称する二人が、願い事を叶えてくれるという。
そういうことが出来るということは、やはり神様なのかな……。
なんという棚ぼた展開。
これを遠慮するのは勿体無い。
『任せなさい。こう見えて女神ですから!』
『そうだぜ。さあ、願いを言いな!』
「じゃあ、俺を元の体に戻してください、お願いします!」
一番の願いは元の世界に帰ることであったが、この体のまま戻るわけにもいかない。
そうなってくると、体を元に戻す方が先決だ。
『ごめ〜ん』
『無理だな』
「無理なのかよ!」
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