109 突如、とんでもない尋問を受けることに……!?
密かにモンスターを倒しまくった翌朝、ギルドへ向かう。
資材運搬の依頼終了の手続きとアックスブルの補充を行うためだ。
モンスター討伐を優先して、まだ資材運搬の報酬を貰ってなかったんだよね。
それが済んだら、依頼を受けたいな。
中へ入ると、腕組みしたギルドマスターとロックさんがいた。
何事だろう。
「「おい、まるもっちー」」
「あ、おはようございます」
二人同時に声をかけられ、挨拶を返す。
「おう。お前に聞きたいことがあるんだ」
「そうだ、ちょっといいか」
と、顎をしゃくってこっちへ来いと合図を送ってくるギルドマスター。
それに同調するように深く頷くロックさん。
「なんでしょう?」
俺は二人へ側に寄りつつ、首を傾げた。
「お前、数十人で数日かけてやる資材運搬の依頼を一日で仕上げたそうだな?」
「そうだ。俺が目撃者であり証言者だ。依頼完了の書類にもその旨は記した」
「あ、はい」
「……分かった。本来は銀貨五枚の依頼だが安すぎる。その人数と日数に見合った報酬を出す。後でリリアーヌから受け取れ」
「お前、まだ手続きしてなかったんだな。ケヴィンに話をしたら通じなくて困ったぞ」
「すみません。昨日は疲れて休んでいました」
と、言い訳しておく。モンスターを倒して回っていたとは言えない。
「よし、次だ。昨日から防壁の工事中にモンスターの襲撃がぱったりと止んだ。何か身に覚えはないか?」
「作業場の近隣の森からモンスターが出てこなくなったんだ。心当たりはないか? 自分の胸に手を当てて、よぉく考えてみろ」
「ロックから話を聞いて、森に調査へ行かせたら、モンスターの数が激減していた。しかも死骸がひとつもない」
「俺たちは近場で作業をしていたが、誰かが森へ行く所なんて見ていない」
「モンスターが大規模な移動をした可能性も考えたが、争った形跡がほんの少し残っていた」
「ケヴィンが受けた報告によると、石ころくらいの幅の穴や傷が木についていたんだとよ」
ずずいと二人が近づき、問い詰められる。
「……いえ、特に思い当たることは……」
俺とミミは咄嗟に視線をそらした。ヤバい、誤魔化しきれるか……。
「本当に無いんだな? もしお前がやったのならランク外討伐だが、報酬を出さなければならない」
「昨日の深夜に白くて餅っぽい人影を見たという警備担当の冒険者からの証言もある。どうなんだ?」
ギルドマスターとロックさんの追求が止まらない。
……かわしきれるか。
「昨日は土砂運びの影響で筋肉痛になって休んでいました。体を慣らすために散歩はしましたが、きっと他人のそら似ですよ」
「よし、今回はそういうことにしておこう」
「次は尻尾を掴んでやるからな」
「なんか、悪者みたいな言われようだな……」
犯罪者を追い詰める刑事のような二人の言葉にたじろぐ。
「現在、この街にさしたる痕跡も残さずにモンスターを大量に討伐できる冒険者なんていない。が、そんなことが出来そうな奴の心当たりなら少し前に出来た」
「俺は一昨日、お前に作業の遅延理由を説明した。そしたら、翌日からその理由のひとつが解消された。関連付けて考えるのはおかしなことだと思うか」
「ど、どうでしょう?」
挙動不審となった俺は言葉を詰まらせながらも、とぼけてやり過ごそうとする。
「いつか必ず証拠を見つけて、追加報酬を払うからな」
「真実はいつも一つだ。覚えておけ」
二人はそう捨て台詞を残すと、去って行った。
モンスター討伐はやり終えたことだし、途中で止められるような懸念はない。
だから俺がやったと言ってしまっても問題ないといえばそうなんだけど……。
「報酬は受け取りたくないなぁ」
今回倒したモンスターは四百二十三匹。
どの程度のランクかは分からないが、そこそこの金額にはなってしまうだろう。
そんな額を俺に払うなら復興費用に回して欲しいよね。
資材運搬の依頼の報酬も大目に貰うことになってしまったし、これ以上は遠慮したい。
それにモンスターが出る場所はひとつではない。
他の作業現場近くにもモンスターが巣食っている場所があるはずだ。
時間があれば、そういったところも何とかしていきたいんだよね。
うん、やっぱりしらを切り通そう。




