106 とんでもない秘密の作戦発動……!
アックスブルをご馳走になったその日の夜、俺はベッドの上で考え込んでいた。
「う〜ん……」
『どうしたの、マスター。お腹一杯で苦しい?』
心配そうな顔をしたミミが俺のお腹を撫でながら聞いてくる。
「ううん、考え事をしていたんだ」
アックスブルが美味しかったので、つい一杯食べてしまったが、お腹の調子が悪いわけではない。
俺は大丈夫だよ、とミミの頭を撫でながら、タオルケットをかけなおす。
『ミミ、お手伝いするよ?』
「ありがとう。じゃあ、明日は早起きしよっか。かなり早いけど、起きられる?」
ミミもやる気のようだし、ここはやってしまおう。
迷いが解消した俺は、早起きする事を決める。
『分かった! 頑張って起きるよ』
「頼もしいな。よし、明日に備えて今日はもう寝ようか」
『は〜い。おやすみなさい、マスター』
「うん、おやすみ」
俺はミミに笑いかけると、照明を消して目を閉じた。
翌朝。日の出前に起床する。
「ミミ、起きられる? 無理なら寝ててもいいよ?」
『起きるぅ』
ミミが寝起きのふわふわした声を出し、眠そうな目を擦りながらふらふらと起き上がる。
「お、頑張ったね」
『うん!』
俺が早起きできたことを褒めると、ミミはシャキリ覚醒。
元気いっぱいの状態へ切り替わった。
「それじゃあ、行こうか」
『どこに行くの?』
「ロックさん達が修復作業をしている防壁の外だね」
ミミに問われ、行き先を答える。
『壁を修理するの?』
「ううん、その周囲のモンスターを倒しておくんだ。どうやらモンスターが多いらしいからね」
ロックさんの話ではモンスターと地震のせいで修復作業が順調ではないらしい。
俺に修復作業の技術はないが、モンスターならどうにかできるかもしれない。
さすがに地震はどうしようもないが、作業現場に近づくモンスターが減れば、その分仕事も進め易いはずだ。
それなら倒しておいてしまえばいい、というわけである。
『そのために早起きしたの?』
「そうそう、他の人に見つからないようにしたいんだ」
昨夜悩んでいたのはその部分だ。
残念ながら冒険者ランクが鉄級だと、受けられる討伐依頼が限られる。
壁の周囲をウロウロしているモンスターがどのレベルかわからない以上、ギルドで依頼を受けるのは得策ではない。
鉄級の俺が討伐依頼を受けられないレベルのモンスターに挑んでいる所を見られると、止められる可能性があるからだ。
最悪、厳重注意を受けてしまう。
そうなると、ギルドで依頼を受けると、目撃者を増やすことになり、あとあと面倒臭い。
なら、なるべく誰にも見つからない方がいいよね、という結論に至った。
『内緒でやるんだね!』
「うん。俺とミミ、二人だけの秘密だ」
『秘密!』
ワクワクした表情でミミが目を輝かせる。
ミミは真剣な表情で『誰にも言わないからね』と口元を両手で塞いだ。
うん、これは信用できる。




