104 依頼達成! とんでもない展開に……!?
「さすがに土はアイテムボックスに入らないか……。けど、石材なら……、問題ないな」
俺は資材を片っ端からアイテムボックスへ収納していく。
土も袋に詰めて土嚢のようにすればアイテムボックスに収納できると思うが、量が量だけに不可能だ。袋がいくらあっても足りない。
「よし、まずは石材と木材を届けてしまうか」
全ての石材と木材を収納し、地図を確認する。
近い場所から順に回って一周するよう走れば効率的だろう。
「まずは軽く走るか。行くよ、ミミ」
『はーい!』
俺は頭の上に乗ってもらったミミに声をかけると、ランニング感覚で走り出した。
いくら外に近い防壁の側とはいえ、街の中であまりスピードを出すと人と接触する恐れがある。
ここは咄嗟に反応できる速度でいくのが無難だろう。
…………
「意外と早く終わったな」
防壁に沿って一周し、資材の設置を終えて戻って来た俺は、ふぅと額を手の甲で拭う。
アイテムボックスで×50と指定すれば一括で取り出すことが出来る。
そのため、設置に時間を消費することが無かった。
お陰で予想外に早く戻れてしまった。
「次は土なんだけど……。地道に運ぶか?」
残されたのは土。
さて、どう運んだものか。
やはり荷車で往復するしかないかな。
俺が考え込んでいると、ミミが服の裾をちょいちょいと引っ張ってくる。
『マスター、どうしたの?』
「うん、この土の山を運びたいんだけど。どうしようかな、と思ってね」
『持ちにくいの?』
「そうだね。あそこにある籠か荷車に土を移して運ぶんだ。だけど、一度に運ぶ量を増やせないかなと思って悩んでたんだ」
『籠に入れるんだね。ミミに任せて!』
「おお! 何かアイデアがあるのかな? できれば十個に分けたいんだ」
『ふふん、じゃあ行くよ!』
ミミが『うーん』と力をため、万歳するようにして解放する。
すると木と蔦が生え、土の山に絡みつく。しばらくもこもこと動いた後、まるで岩石の固まりのように編みあがった籠が十個出来上がった。
「おおお、これなら全部アイテムボックスにしまって運べるぞ」
『うまく運べそう?』
「うん、とても助かったよ。ミミ、ありがとうね」
俺はミミにお礼を言うと、頭をなでた。
『うふふ、マスターに褒められちゃった。ミミもお役に立てて嬉しいよ』
ミミは俺の脚にしがみついて、にぱっと満面の笑顔を返してくれる。
「うう、いい子だ。それじゃあ、回収して出発するか!」
『はーい!』
俺は早速、籠状になった土を全てアイテムボックスへと回収。
ミミを頭に乗せ、再度壁に沿ってランニングするため、駆け出した。
数時間後。
「よし、運搬終了!」
石材、材木、土、全て運び終えた。
それぞれの地点で籠はバラし、土の山にしておいた。これでどうやって運んだかは、分からないだろう。
「おーい、そろそろ今日は終いにしろや。日が暮れてきたら視界が悪くなるからな」
「あ、お疲れ様です」
俺が空になった資材置き場を満足げに眺めていると、ロックさんがやってきた。
「おう。どうだ、初日だし苦戦したんじゃないか? 重い物を運ぶのには結構コツがいるからな。俺もこの手の仕事を初めてやったときは苦労したもんだぜ。で、どれくらい運べ……たん……だ? って、資材がなくなってるじゃねえか!!!」
「はい、全部運び終えました」
「なわけないだろうが!!! お前、資材をどこにやった!!!」
「え、だから指定された十ヶ所に運びましたよ?」
「んな馬鹿なことがあってたまるか! どんだけの量があったと思ってるんだ!」
資材が空になっていることに驚いたロックさんは唾を飛ばしてまくし立てた。
うーん、確かにアイテムボックスがないと簡単には運べない物量だ。
ロックさんが信じてくれないもの仕方がない気がする。
これ以上ここで言い合ってもらちが明かないし、現物を見せたほうが早いかもしれない。
「じゃあ、確認に行きましょう。ちゃんと置いてきたんで確かめてください」
「おうおう、行ってやろうじゃねえか。本当にあったら酒でもなんでも奢ってやるよ。その代わり、無かったらぶっ飛ばすからな」
「どうぞどうぞ。ロックさん、すみませんが俺が抱き上げて運びますね」
「んだよ、別にそこまで疲れてねえよ。一ヶ所目を確認したら、後は蜥蜴か馬にでも乗ればなんとかなるだろ」
「いえ、時間短縮するんで。お願いします」
「大丈夫だって言ってるだろ。俺を舐めるんじゃねえ」
ロックさんは俺が抱えて運ぶことを頑なに拒否する。
まあ、普通はそうなるよね。




