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エンジェルレイヤー。

「あきさん……、あたし……」


「良かった。もう帰って来れないかと思った……」


 え? このあきさんって人、アリアの事情を把握してるの?


 っていうかこの人すごい。なんで? 普通の日本人だと思うのに、こんな魔力……。


 まあアリアもね? もともと魔力持ちだったんだしこういうのも有りなのかもだけど、それでもこのギアの存在しない世界でよくもまあこれだけ……。


「ねえあき、いい加減にしてまりあの所行こ? あっちで寝たきりになってるありあの事も心配だし」


「ああ麻里子。そうだな」


 って、寝たきりのアリア? それに、この子、麻里子? もしかして、天城麻里子? え? どういう事?



「寝たきりのあたし? どういう事? あきさん」


「ああ。詳しいことはありあの家で話すよ。それに、そちらの二人にもお礼言わなくちゃなのかな? ありがとう、ありあをここまで連れてきてくれて」


「あ、はい……」


 なんだかなんでもわかってる? 風なこの人の発言に、あたしちょっと面食らってる。


 とにかくとりあえずアリアのおうちに向かったあたしたち。その間に自己紹介だけは済ませた。


 に、してもだよ。落ち着きすぎじゃない? 異世界だよ? 異世界人がここに来てるんだよ? それなのにこの平常な感じはどういうこと?


「ああ、マリカさん。話して無かったですけど、この世界に異世界人が来るのは初めてじゃないんです。つい数ヶ月前にも何処かの世界の魔王さんとか天使さんとか色々来てて。麻里子さんの会社でそういう研究もしてますし。それにあたしの同級生には異世界転生してきたことかもいるんですよ」


 と、アリア。


 あきに会って落ち着いたかな。少なくとも自分がこの世界で部外者だなんて事態は避けられたみたいだし。


「麻里子さんの会社って、天城?」


「ええ。有名ですもんね」


 ああ。ちょっと会話噛み合ってないけどまあいいや。


 そっか。確かに茉莉花の時代でも天城は有名だった。だけどまさか、アリシアの親友、天城麻里子がこの時代女子高生してるなんて思ってもみなかったけど。


 それに。


 まだアリシアと麻里子は知り合っていない筈だ。


 最終戦争がおきるのも、まだ30年以上先の話。


 なんだかすごく変な気分。あたしは……アリシアだったあたしは、同年代の茉莉花でもあったって言う事なの?


「気分悪いの? マリカ」


「ごめんアーサー。ちょっと色々考えちゃって……」


「顔色悪いよ。もしよかったら僕の腕につかまってていいからね」


 ありがとうアーサー。いきなりこんな世界に連れて来られて面食らってたはずなのに。ごめんね。


 あたしはそっとアーサーの腕をとって。そして寄り添った。


 なんだか色々ありすぎて。自分のアイデンティティが何処にあるのか分からなくなってて怖い。


 そうこうしているうちにアリアの自宅にたどり着いたあたしたち。


 あきが玄関のチャイムを鳴らすと中からアリアそっくりの女の子が現れた。


「ありあちゃん! 良かった。おかえり!」


「まりあちゃん! ただいま……」


 はう。アリマリの二人か。そうだよねそっくりな筈だよね。


 二人がそう抱き合って涙ぐんでるところにあき、


「感動の再会はいいけど寝てる方のありあの所に連れてって。とにかくこの状態を元に戻してからゆっくりしよ?」


「あ、うん。ごめんねあきさん麻里子さん。ちょうど様子を見に来てもらう所でありあちゃん見つけてくれてありがとう。電話もらった時はびっくりしたけどこうしてちゃんとありあちゃんだもの。ほんと、良かったよ……」


 あたしとアーサーの事も電話で聞いてたマリア、挨拶もそこそこにあたしたちを奥の部屋まで案内してくれた。



 確かにそこにいるのはアリアだった。お布団に入って寝入っている感じ、だけど。


 って、この子、レイスが無い?


 完全に抜けてる。肉体だけだ。


「この子、身体だけになってる?」


「あ、流石にわかるんだね。そう、ここにいるありあはありあの抜け殻。心がすっぽり抜けて何処かに行っちゃった状態だったんだよ。でも、この世界の何処を探しても彼女の魂はなかったから。もしかして別の世界に転移しちゃったんじゃ無いかって心配してたんだ」


「そこまでわかるの? あき、あなたってすごいのね」


「ああ、俺も将来そんな風になるかも知れないって、この間他所の世界から来たやつに言われたしね。何にしても異世界なんて行っちゃったら戻って来れるかわからないってそいつ、言ってたからさ。だから、あんたたちのおかげで助かったよ」


「はう。そんな事が……。でも、アリアは身体ごと転移したんじゃ無かったの?」


「本当にね? 俺もまさかアリアがそっちの世界で実体化してるとは思ってなかったけどね?」


「彼女、特殊なのよ。エンジェルレイヤーで二人分の肉体が合成された状態だったから。きっとそのおかげでそっちの世界でもマトリクスを実体化する事ができたんだと思うわ」


「そうなの? 麻里子?」


「ええ。あき。だからあとはあなたが手を貸してあげてありあを素の状態に戻してあげて。インナースペースの操作はたぶんあきが一番上手いから」


「ああ、わかった。ありあ、ちょっとお前の中入ってもいいか?」


「ええ。あきさん。お願いします」


 そういうとあき、右手をそっとアリアの額に当てて。そのままあきの身体が崩れ落ちるのを麻里子が抱きとめた。


「よし。じゃあちょっとやってみる」


 アリアがあきの口調でそう言った。はう、こんな一瞬で彼女に乗り移ったっていうの? あきは。


 っていうかインナースペースだのエンジェルレイヤーだのいろいろな用語がとびかってたけど。


 この世界、そういうのが当たり前にある世界だっけか。


 アリアのあき、寝てるアリアの額に手を当てて、


「マジカルレイヤー!」


 って叫んだ。


 って、えー? そこまでできるの?

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新連載はじめました♪
『あたしのお母様は異世界転移ヒロインでした。』 もよろしくおねがいします♬
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