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その道は曇りのち晴れ

作者: アルファン

考え方が合わない男女が恋人となったとき、恐らくどうしようもないくらい盲目の恋に陥るのだろう。

少し考えれば二人で進む道にはその身を切り刻む茨が要所要所に蠢いているのがわかるというのに、

もしくは頭ではわかっているというのにそれを自ら見えなくしてしまう。


いざ進んでみるとよくわかるはずだ。

その身を切り刻む茨を受けて必死にお互いを庇いあうのだから。

その茨が自分の世界から生まれていることも分かっているというのに。


しかし平常時に進む二人の道は愛に溢れ楽しみが満ちている。

それは麻薬となり快楽と安心を貪るには十分である。


だからこそ二人は固く手を握り合い茨の道にも突き進んでいくのである。

きっと二人なら乗り越えられる、茨が消え去り愛と楽しみを謳歌する時があると思って歯を食いしばりながら進むのだ。


しかしながらふと気が付くのだ。

相手がもはやボロボロとなっており息を切らせていることに。


その時初めて思考する、この道を行く末を。

それは自己満足ではなく、お互いを想いあっての思考である。


固く握られた手を見落とすと、小指一つとなっているかもしれない。

それでも握る健気さに再び思考が駆け巡るだろう。


相手を想うが故にその光景に耐えられなくなる。

そして互いを第一に思うからこそその手を離すことを望むのであろう。


愛を語り、過去を振り返り、また愛を語る。

お互いの健闘を称えあい、想い人ということを再認識するだろう。


だからこそ手を放す時、お互い笑って泣いて別れを告げられるのだ。

茨は消え別々の道へ歩んでいく。

いつか再び会えるのかは誰も分からないが再び笑いあえることを願って。


茨が消え一人で歩いていくこの道はどんよりと曇っている。

しかしもうわかっている。


別れ際の笑顔が空で輝くとき、その空は晴れ晴れとしていることを。

そう、この道は曇りのち晴れなのである。

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