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隣くんはいつもこうだ  作者: のりまきてんてー
日常編
9/53

新手新たなる部員

再アップです

 

  蝉の鳴き声もそろそろ目立ち始めた。


 担任の安水先生の数学の授業中、

 外のグラウンドで球技をしている

 他学年を見ながら俺は昨日のことを思い返していた。

 まさか千原とその友達と一緒に遊ぶことになるとは

 夢にまで思わなかったことである。


「まぁなんにせよあとは野となれ山となれか……」

 俺は、また机上に視線を転じ惰眠を貪ることになった。


  放課後のことである。

  俺が鞄に教材を詰めていると

 千原が俺に話しかけてきた。

「さぁ、隣くん行くよー!」

  そう言い、千原は俺の腕をつかんだ。

「おいおい、ちょっとまだ準備できてないんだが」


  「渚ちゃんも待たせているからさ、はやくはやく」

 誰だよ。渚ちゃんって。ん?俺は気づいた。

  クラスメートに変な目で見られていることに。

「ふたりって付き合ってるの?」

「さぁ?」

  クラスメートのヒソヒソ声が聞こえてきた。

  とにかくこの場から離れなければならないようだ。

「わかった、わかった。」

  俺は鞄を背負い、慌てて千原に引きずられるように

 ついていった。

  その後のことである。

「おい、千原。遊ぶってどこで

 遊ぶんだよ!ゲーセンか?」


「そんな訳ないでしょ!渚ちゃんは

 奥ゆかしい子だから!」

 そんなこと知るか。


「喫茶店に決まっているでしょ~!」

 俺は腕を引っ張られながら渚という女が

 どういう女なのか想像していた。


「さぁ着いたよー。あ、いた渚ちゃんー!」

 さて、渚という女は?

 俺が顔を上げたとき視界に美少女が飛び込んできた。

 長い黒髪をひとつにしてぱっちりとした目に

 整った眉目。

 服は私服に着替えたのだろうか。

 青いシャツに白いスカートが映えている。

 それにしても、ものすごいアレだな……

 胸が圧倒的な存在感を出していた。


「あ、こんにちは!千原さん、隣さん」

 俺は開いた口をなかなか閉じれなかった。


「自己紹介がまだでしたよね!私、潮美渚といいます!」


「なんで、俺の名前知ってるの?ていうか

 なんで千原の知り合いなの?」


 こんなに性格がいい子が千原の知り合いに

 いるなんて俺は信じられなかった。

 そして、なぜ俺の名前を知っているのか。

 そもそも会ってないのに。


「あ、千原さんにお名前を伺いました。

 びっくりしましたよね?すいません」


 そこで千原は、

「渚ちゃんは隣のクラスでたまたま放課後に

 知り合ったの!ここではなんだから

 喫茶店で話そうよー!」と言った。


   さて喫茶店というと、

 なんとも特徴がない一般的な喫茶店であった。


   客は俺達以外誰もいなかった。

 すぐさま女性の店員さんが俺達を窓際の席へ案内した。


  「ご注文は何になさいますか?」

「私はジュースで。 隣くんと渚ちゃんは?」

  「そうだな、俺はコーヒーで」

「私もコーヒーで」

  「かしこまりました」

 店員さんが一礼してその場を去ったのを見て、

 俺達は改めてさっきの話の続きをした。

  「改めましてこんにちは。隣和也さん」

 潮美さんが頭を下げたのを見て、俺も慌てて頭を下げた。

「お見合いか!2人ともかたくなりすぎ!それと隣くんは

  渚ちゃんの胸ばかり見ない!」

「べ、べつに見てない。」

「見てたでしょ!」

「少ししか見てない、見てない……」

「ウフフ、別にいいですよ。もう慣れっこですから」

 サラリと潮美さんが衝撃的なことを

 カミングアウトした。

「それより、渚ちゃんを

 隣くんに紹介したのは理由があるの!」

  千原が変な空気の中、突然机を叩いて立ち上がった。

「実は渚ちゃんは今日から

 我が将棋部の部員になりまーす!」


「えぇ!?じゃあわざわざこんな事しなくても

 口頭で言ってくれればいいのに……」

「ばか!渚ちゃんが隣くんに会いたいって

 言ったからなの!」

「え、まさか俺のこと好きとか?」

 次の瞬間足を思いっきり踏まれた。

 堪え難い痛みが俺を襲った。

「ぐあああああああ、何しやがる千原!」

 ほんの冗談なのに。

  「ごめーん、足が滑っちゃった」

 絶対わざとだ。この女覚えていろよ。

「フフ、やっぱり隣さんって面白い方ですね」

「あ、そろそろ帰ろう、喫茶店も混んできたからさ」

 見れば客足も多くなってきた。

  会計を済ませた後、潮美さんはこの近くに

 家があるというので俺と千原は2人で

  夕暮れの中、家路を歩いていた。

「ねぇ、隣くんって渚ちゃんのこと好き?」

「はぁ?」

 突然言われて俺は困惑する。

  「答えて!」

 千原のさっきよりも一段でかい声に俺は答える。

「それは……まだ初対面だから

 そういう感情はないな」

 本当である。

「そう」

「なんだよ!さっきから変だぞお前!」

「隣くん、私だって結構胸あるからね!じゃあね!」

「おい!なんなんだよ!」

 なんだったんだよ。あいつ。まぁいいか。

 それより帰って将棋の研究しないといけない。

 俺は、流行の戦型について考えながら

 帰路についたのだった。


 

 

 

 


 



 


 



 




 




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