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七、

ボーイズラブ(腐向け・女性向け)要素を含みます。苦手な方、意味がわからない方は閲覧をしないでください。

 いつぞや家の前を通り過ぎていった子供達が、大きな笑い声に驚いた窓から黒々とした頭の上の方だけを覗かせては去っていった。

 馬酔木は笑いをこらえるために、腹を抱えて痙攣するような動きをしていた。腹がよじれるほど、というのを経験したことがないから、どれほど苦しいのかはわからないが、目に涙を浮かべるほどだというのはよくわかった。

 笑いを殺し終わると、体を起こして絡み付いた包帯を叩き落とす。まだ、思い出し笑いに苦しんでいるようだが、手元が狂わない程度には戻ったらしい。

「まあ、冗談は置いとけ。腹の包帯変えるだけだ、取って食ったりしない」

 いわれなくとも。一度間違いを犯せば充分だ。

 袖から腕を抜いて上体をはだける。胴に巻き付いた包帯にはさみが入り、傷口があらわになった。出血はやはり足よりもおおい。一晩経ったとは思えないほどに、まだ生々しい切り口を見せていた。やはり普通より血が止まりにくいのか。

 空気にさらされて、しみるような感じがしたが軟膏を塗り付けられるとすぐに収まった。

「解毒薬か?」

「今頃解毒してるんじゃ、手遅れもいいところだぜ。ただの血止めと痛み止めだ」

処置をしながら馬酔木は答える。死に至る毒らしい。せいぜい傷を治りにくくする程度のものだと思い込んでいた。浅はかだったようだ。それとも、たいしたことはないと思い込ませて、油断しているうちに命を削り取るという作戦だったのかもしれない。

「本当に、私を助けるのか。見返りは?」

肩をすくめた。返事はない。

「どうだかな。なにも思いつかなかったら、体で払ってもらうしかないな」

「本当にそれを望むなら、拒む理由はない」

 ほぼ包帯を巻き終わっていた手が止まった。僅かに顔を横にそらした動きは戸惑っているように見えた。

「へえ、案外乗り気なんだな」

 服を着るようにいい、彼自身は血の付いた包帯とはさみを片付ける。そのまま食器の入った桶をもってどこかに出て行った。近くに水場があるのだろう。

 乗り気とは違う。ただ、わかりやすい理由を提示してくれないと、信用できないだけだ。

 お互い単なる親切だと言われて、はいそうですかといって受け取れるほど生易しい所に身を置いていないはずだ。むしろ、性欲処理に使えそうだとか秋雨の主を陥れるために利用してやりたいだとか手柄をあげるためにりようするだとか言われた方が納得できる。

 部屋の中を見回した。毒をつくるのにつかう道具が置いてあれば、彼の使う毒が分かるかもしれない。


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