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ワイングラスのお話

作者: コリー

 ポツ ポツ


 何も見えない まっくらな闇


 闇の中から 水滴が水面へと落ちてゆく音が響く


 その水滴は赤く 水滴が集まって出来ている水面もやはり赤い

 

 いまはどのあたりまで たまっているのだろうか?


 最初は空っぽだったのかな?


 でも ボクがその存在に気がついたときにはもう その器の半分程を赤い水滴が 赤く染めていた


 赤い 赤い 真っ赤な水滴が


 ポツ ポツ


 まるで そこへ吸い寄せられるかのように 器の中へとおちていく


 水滴を集めるボクの器は それは そう 


 まるで ワイングラス のような色と形をしている


 どこまでも透明で 透き通っているワイングラス 


 でも いまではもう あの時のように グラスの向こう側を


 その先にあるモノを 見通すことなど出来なくなってしまっている


 ポツ ポツ

 

 グラスを染める 真っ赤な液体は少しずつその赤さをましていく 


 最初は 薄い赤


 でも ふと 気がつくと 先の見えない濃い赤へと


 そして この前に見た時は まるで絵の具のような ドロドロとした赤い液体へと変化していた


 ワイングラスは多彩な赤で 地層のように段を作りながら染められていく 


 グラスの底は薄い赤 グラスの中間を染める赤は 先の見えないヌルヌルとした赤


 そして グラスの天辺を満たしきっている液体は 


 真っ黒く染まる赤だということに 


 ボクは今 気づいた


 ポツ ポツ


 それでも 水滴はやまない


 もう限界だ と叫んでいるボクのワイングラスへと 


 ポツ ポツ


 一滴ずつ降ってくる


 ポツ 


 ポツ ポツ


 ポツ ポツ ポツ 


 ポツ ポツ ポツ ポツ ポツ ポツ


 ポツ ポツ ポツ ポツ ポツ ポツ ポツ




 ポツ 



 

 その 赤黒い一滴を最後に


 ボクのワイングラスから 


 赤黒い液体が ドク ドク と溢れ出てくる




 それが ボクの


 心の器の 


        限界  



 この後、この人物がどうなったのかは、皆様のご想像にお任せします。

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